この本の最大の利点は「絵で描かれている鳥たち、実際にはどんな姿をしているのだろう?」という興味を満たすことが出来ることだと思います。
当たり前と言えばそれまでなのですが、鳥たちの姿、絵では相当デフォルメされており、実物とすれ違っていても「あの漫画ではこの鳥?」ぐらいの感じでしか見ることが出来ないんですよね。ツグミとか、実物でみると「ああ、作者の言わんとしていることは分かる…」と思うぐらい。
漫画でとりぱんをここまで楽しんでしまった人は、当然持つべき欲求(笑)を満たすためにある本だと思います。
みんな高い高いと言ってますけど、つくりかたのノリが完全に同人誌であり、部数を考えてもこんなものですよ…そう、同人誌って高いんですよねえ…ちなみにホントに同人誌だったら原価でも一冊2000円超えているような作りだよなあ…
純粋に趣味の本として手に取られた方々が怒るのも無理無いとは思います。あくまで、とりぱんファンのためのファンブックみたいなものですから…純粋に野鳥ラブの人は、手に取らないことですね。そういう人たちが怒りに染まるのも分かるけど、目的がそもそも間違っているので…
むしろ題を見た上で図鑑としてこの本を買ってしまう人が理解できないですねえ…古本屋でちゃんとした図鑑が安い値段で売られているのに…アマゾンでも調べられますよ?
ずばり言いたい。 取材はしなくていい。
ずっと「とりぱん」を読んできたファンは、なん子さんが、凡庸な日常の中で見いだす、小さな動物たちや、小さな花、季節の移り変わりをこそ愛しているのです。 出かけたり、何かを企画したりといった特別なことをしなくても、ただちょっと立ち止まって少しだけ気をつけて観察するだけで、素敵なこと、驚くこと、ほっこりするようなものは、いつも、すぐそばにあるのだと気づかせてくれる。それこそが「とりぱん」の魅力だったはず。
外国に行って取材する必要はないし、そもそもマンガを書くために取材するようなことを、読者は望んでいません。 何の役に立つわけでもなく、ただちょっとした楽しみのためだけに、山のようにパンの耳を買って帰るなん子さんを、皆は愛していたのではないでしょうか?
いや、外国に行って取材するマンガというのもありだとは思うのですよ。 でも取材するなら、徹底的に調査して、準備して、対策を立ててやるのが筋であって、数日よそにいってぼーっとしていた話なんて、読むに耐えるだけ内容があるとは、ちょっと思えない。 それよりは、大切に生活をする日常の方が、密度が高いのではないでしょうか。
なん子さんの世界は最高です。 我が家に来る鳥を判別するのに、図鑑は要りません
|