皆様よくご存知と思いますが、アランラッド主演の映画シェーンの原作です。ジョージステイーブンス監督のシェーンは本当にすばらしい映画ですが、この原作を読みますと映画ではわからない事もよくわかるということがいくつかありました。何分にも、古い本なので現在の文庫本より活字が大変小さいですが、200ページもない薄い本ですので一気に読めてしまいました。映画をより深く理解するのにとても役立つ本だと思います。ジャックシェーファーは新聞記者をする傍らこの小説を書いたそうです。そのせいか、文章は大変簡潔です。興味をもたれた方は是非ご覧ください。
このシリーズの特徴は、1.全会話(さらにト書き)の英語掲載 2.語句の解説 3.映画の字幕とは違った細かめの日本語訳 4.作品に関連したコラム記事 あたりにあると思う。 本書でもこれらの特徴は十分発揮されていて素晴らしいと思った。 (同シリーズ本でも2.や4.がないものがあり、通販で買ってがっかりした経験がある)
コラム欄の担当者は、英語文学を専門とする方とお見受けしました。 門外漢の私にはどの記事も大変参考になりました。
この映画は西部劇に分類されるのは間違いないが、ホームドラマの面もかなり色濃い。 登場人物たちの会話から感じ取れる微妙なニュアンスは、本書で初めて気付いたものが多かった。
例えば有名なラストシーン。 ジョーイ少年は、ガン・ヒーローのシェーンが当然戻ってくれると信じて疑わない。 他方シェーンは、もはや自分のようなガンマンが活躍する時代は終わったと言って去って行く(本書によると1890年のフロンティア消滅の頃)。 そしてジョーイ少年には「両親を大事にしろ」、「 straightな大人になれ」と言い残していく (ここでのstraightが自分のようなガンマン=人殺しになるなということだという)。 この映画の時代背景や簡単な語句の裏にある意味も知り、改めて名場面と実感した。
このラストに限らず、本書を見ながら鑑賞すると何倍もこの名作を楽しめるという感じだ。
このシリーズの宣伝文句は”映画スターが英語の先生”というものだ。 著作権が消滅するほど古い作品で、登場人物は全員亡くなっている(ジョーイ少年役は30歳で交通事故死)。 しかし、本書を手にする英語学習者のこころの中にはいつまでも生きていて、先生でいてくれるであろう。 ジョーイ少年も私にとっては今も英語の先生でいてくれている。
著作権が切れた作品のDVDが付いている版は、いままでの同シリーズ本より二まわりほど小さいサイズとなっている。 情報量が少なくなったというより、文字を小さくして携帯しやすくしたといっていいかもしれない。 その付属DVDには英・日とも字幕がない。売る側は「そのほうが英語学習に役立つ」と言っているが、 字幕があった上で選択できたほうがいいと思うのは私だけではあるまい。
この映画の番外的な話題で興味深いのが、「ラストシーンでのシェーン死亡説」と著作権の「1953年問題」だ。 本書では前者のみコラム欄で取り上げている。 生死それ自体よりもガンマンが活躍する時代の終焉を象徴していると見るべきとの解釈が示されており、なるほどと思った。
後者は、シェーンが発表された1953年から50年経過した2003年で著作権が切れるのか(旧法では保護期間50年) それとも2004年1月1日施行の改正法(保護期間を20年延長)が適用されて2023年まで保護されるかが争われた問題。 最高裁は2003年で切れると判断し(パラマウント側の敗訴)、 そのためシェーン、ローマの休日など1953年の作品の激安DVD販売の契機となった。
父がこの「シェーン」の大ファンだったので、まだ家にビデオなどなかった幼い頃から、TV放送のたびに繰り返し見た西部劇の傑作。いつぞや父の誕生日にこのビデオをプレゼントした覚えがある。 典型的な西部劇のパターンを踏襲しながら、一貫して少年の目から見たヒーロー=シェーンを描いた点に名作と言われる成功の一因があろう。アラン・ラッドの名演は言うに及ばず、シェーンに仄かな想いを寄せる少年の母役であるジーン・アーサーの美しさも忘れられない。「Shane,come back!」というあまりにも有名なラスト・シーン、ビクター・ヤングによる名主題曲「遥かなる山の呼び声」、どれをとっても涙モノである。一日も早いDVD化が待たれる。
「遥かなる山の叫び声」が流れる冒頭シーンは、何時観ても 心がワクワクしてくる。また、何度も映し出されるロッキー山脈 の一部であるグランドテイトン国立公園にそびえ立つ雄大な山並みが この映画に魂を吹き込んでいるようだ。
当初、オリジナルキャストはシェーン役にモンゴメリー・クリスト、 スターレット役はウィリアム・ホールデン、そしてマリアン役に キャサリン・ヘップバーンであったが、スケジュールの調整が着かず ご覧のキャストとなった。
数多くのハリウッド映画に出演しているアラン・ラッドも結果的には 大成功であった。アランを語るのに今作一本で十分であるぐらいの 好演技にウェスタン映画の最高傑作のひとつに数えられている。
ジョーイ役のブランドン・デ・ワイルドの存在は今作をファミリー映画 として、幅広い年齢層に支持される所以ともなっているようだ。
クライマックスの酒場での対決シーンは現在でも議論されている 名シーンで、月明かりに照らされた山脈に向かって町を離れていく シェーンは深い傷(結果は同士討ち?)を負っている。それを 知っているジョーイが叫ぶ「シェーン、カムバック!」は死へ旅立つ シェーンに自分が何も出来ない虚しさが込められているように 私は聞えて来た。
時間が経てば、また観たくなってくる名作ですね。
まず「序」に、少年時代から老境を感じ初めた現在までの著者と映画との関わりについて正直に心情を吐露した文がある。これだけでも珠玉のエッセイを読んだここちになる。本編では映画シェーンの名シーンについてのきめ細かい的確な解説がひろがる。小生も何度かビデオで見ていたが、ジョーイ少年やマリアンの思いにばかり気をとられ、ベン・ジョンスン扮するクリスの真情にまではこの本を読むまで思いが至らなかった。 オールドフアンはもとより、映画好きな若い方たちにぜひ一読を薦めたい。
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