本書は、日本のNGOの先鞭的役割を果たすJVC(日本国際ボランティアセンター)がその豊富な経験を通してNGOの役割とは何か、というNGOの原点を顧みる、一種の「報告書」である。語弊があるかもしれないが、「報告書」というものはあるプロジェクトについて総括した書類である。日本では未だに「NGOって何してるの。」という話を耳にする。徐々に若者の間では認知されてきたようだがまだまだであろう。なぜ人々にその存在が浸透しないかといえば、透明性に欠けているからである。知ってもらうには広報が重要になってくる。だが、本書は「報告書」という狭隘な場所に留まってしまっているように思える。そのようなコンセプトの元で著されたので致し方ない部分もあるが、様々な貧困対策への独自のアプローチ法や、政府と市民と具体的にどのように付き合っていくのか、という細部にまで手をつけてほしかった。それが悔やまれる。
ただ、理念として考えさせられる箇所もある。それが農村における「自立」の概念だ。詳しくは本書を見てほしいのだが、一つは「地立」、もう一つが「自律」である。二つの「自立」をバランスよく維持しながらどのように発展させればいいのか。その答えは一つのモデルには収斂できようもないが、それを成功させることができれば悪循環に浸されている貧困の現状を打破できるに違いない。
JVCと関わりのある方、またはこれから関わりたいという方は読むべきであろう。
世界各国で起きてきた性的少数者たちへの差別・拷問などの事例を分類別に取り上げ、各事例に対するアムネスティ・インターナショナルの見解が述べられています。たとえ国家が公に反同性愛的な政策を取っていないとしても、性的少数者たちの存在自体が個人レベルで如何に否定され得るかを考えさせられました。また、レズビアンとして生きていくことについても考えさせられました。周りにレズビアンの友達が数人いるんですが、この本を読んでから彼女らの言うこと(たとえ冗談交じりでも)の行間が読めるようになりました。アムネスティ・インターナショナルの見解も、極端に走らず、理のかなったものですし、七十数頁と分量もそれほどありませんので、人権に興味を持っている方にはオススメです。
まず、筆者はアムネスティ・インターナショナル日本支部のサポーターなので、ぜひこのアルバムを多くの方に購入して欲しいと切におもう。内容のほうだが、正直に言ってしまえば、本作品集はディランのカヴァー集としてはベストとは言えない。というのは、"30th anniversary" という不朽の名盤があるためで、あちらは音楽監督のG.E スミスの意思が徹底していること、バック・バンドにBooker T and the MG'sという名バンドを起用していること、などで軍配が上がるのは当然だろう。正直、本作品を聴き通して、新しい魅力を発見した曲はKris Kristoffersonの "Quinn the Eskimo" くらいかな、という気はする。Kronos Quartetの演奏は面白かったし、名曲 "Man of Peace" が入っていたのも嬉しかった。 本アルバムの売りは、やはりカヴァーしているアーティストの質と量、そしてカヴァー曲(最新のものまで入っている)ことであろう。そして、アムネスティを象徴するミュージシャンとして、The Beatlesは起用しなかっただろう、ということを考えると、これだけの数のミュージシャンがDylanおよびアムネスティの活動を支持していることに、やはり筆者は大きな感動を覚えるのだ。 アムネスティ日本支部が地道に運動しているように、早く日本でも死刑廃止が実現するとなおよいのだが・・・
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