神戸に住む清太と節子は、病弱ながらも優しい母とともに幸せな生活を送っていました。
しかし、1945年6月5日、神戸を襲った空襲で母を亡くし、三宮の伯母の家に身を寄せます。母の遺骨を持って伯母の家に帰ったものの、節子には母の死を言い出せない清太の前に、節子は母を恋しがって行方を聞きます。このとき、なんとも応え様の無い清太の様子が心に響きます。
空襲の2日後、清太は元の家から非常用の食糧を取ってきます。にしんや卵などは伯母も喜び、大歓迎します。
その日の夜、伯母には内緒で節子にドロップをやったとき…節子は大喜びで草の中を駆け回ります。「ドロップ! ドロップ!」と駆け回る節子の周りには蛍がうれしそうに一緒に飛んでいました。
その食糧も底をつき、いよいよ三宮の伯母の家には居辛くなります。
母の形見の着物も米に変え、なんとか食糧を提供してきたふたりでしたが、その米もつきたとき、伯母はいよいよ厄介者としてふたりを扱います。
そんな中、食糧の問題から伯母と喧嘩したふたりは、伯母の家を出て川辺の防空壕へ身を寄せることにします。
防空壕で暮らしてもやっぱり食糧の確保は目途がつきません。
やむなく農家から盗みを働いた清太でしたが、それが見付かり交番に突き出されたとき、迎えに来た節子の顔を見た清太は、涙を止めることはできませんでした。
……ふたりで生きて行くため、この先も盗みを止めるわけには行かない――清太自身、このことをよく知っていたからです。
いよいよ食糧が尽き、節子が身体を壊します。連れて行った病院でも、これと言った解決策もなく、ついに両親が残した貯金も底をつきました。
そんなとき、清太は銀行で、立ち直れないほどの衝撃を受けます――日本が敗戦し、父が乗った戦艦も海に沈んだというのです!
蛍とともに生き、蛍とともに死んだ節子。そんな節子を見守る清太。
映画を思い出して浸りながら読むと、すごく感動できる本です。