現時点で(そしておそらくこれからも)もっとも包括的かつ理解しやすい東電福島原発事故に関するドキュメンタリーだろう。
これが国外の事態であれば興味深く読むだけだが、国内の今も進行中の事故であるというのは本当に不幸なことであり、目頭が熱くなります。一方、このようなすばらしい書籍を上梓した著者と出版に関わった方々には頭が下がります。
以下のような致命的な状況が関係者のヒアリングを基にした記述で、多くの実名入りでつづられます。
・直前まで津波や電源喪失(だけではないが)への対応をおろそかにしようとしてきた東電・安全保安院(被害が彼らだけに及ぶのならまさに「天罰」といいたくなるほどのおろかさ) ・緊急時をほとんど全く想定していない東電のリスク管理の低さ(企業トップが同時にそろって重要性の低くプライベートな「出張」に行くなど最たる例) ・東電幹部が状況をほとんど全く理解していない一方、吉田所長が壊滅的に困難な状況でいかに知恵を絞って尽力したか ・現場と乖離している東電の企業体質 ・事故で大きな被害を出しても自分は被害者かつ殿様という意識が抜けない東電トップ
『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』のような技術的な記述はほぼ全くありません。一方で、誰が何を言ったり実行したかと同じくらい(もしかしたらそれ以上に)重要な、なぜ、何を考えてそう言ったのか実行したのか、が良くわかります。
この原発事故は、それこそ毎日、テレビ・新聞で山のように報道されてました。 でも、何の脈絡もない、その時点での断片的な事実(場合によっては事実ではないこと)だけが、記憶にとどまっています。 結局、何が事実で、何がどうして、どうなったということが全く理解できていませんでした。
この本で、ようやく、何が起こり、誰が何を考え、誰が何をどうした、ということが、わかりました。
ただ、たくさん登場する官僚については、(当然ですが)面識がないので、その動きについての読みは浅いかもしれません。 それでも、無類の面白さを持った本だと思います。
すべてが真実というわけではないでしょうが、そういうことだったのか!と、感嘆することしきりです。 大部で、詳細を極めますが、全く飽きさせません。
リアルタイムで、物事を理解できず、この本のような質の良いノンフィクションを読んで、初めて全体像がわかる、というのは、自分としては残念ですが・・・・
船橋洋一氏のカウントダウン・メルトダウンも是非読みたいと思っています。 また違った視点があると思いますので・・・ (199)
この役どころも、やはり白竜サマならではの良さが出ています。 役者さん自体に個性があるので、今の時代、貴重な俳優さんだと思います
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