衝撃（？）のラスト高橋葉介モバイル

衝撃（？）のラスト

ストーリィ・テラー (ぶんか社コミックス)

ぶんか社発行の「いちばん残酷な　まんがグリム童話」にて連載された作品が収録されています。全12話からなる連作短編で、210頁足らずの本です。

掲載誌名からわかるように、グリム童話をモチーフにしたシリーズ作です。なんか今さらというか、えらいベタベタなテーマだなって気もするが（笑）、グリム童話と葉介先生の相性が悪いはずもなく、当然ながらハマってます。

不思議な体験談を掲載する雑誌の編集者である九鬼奇句子が、様々な人々から怪奇体験を聴き取ったりする形で話が進みます。いわゆる狂言回しってやつですが、ただ彼女は普通の人ではなく、“人の話に入り込み、過去の事実を変えてしまえる”という特殊な力を持っています。この力で話し手の過去に介入し、彼らの運命を変える事も出来るわけです。

あと第4話目以降、濡れ場が頻繁に出てくるのも特徴かな。もっとも先生の絵だと、何を描いても幻想的で全然いやらしくはならないんですけどね。

「長ぐつをはいた猫」は、化け猫少女のキャラクターが可愛くて気に入ってます。また「オオカミと7匹の子ヤギ」は原典のアレンジが巧妙だし、重い題材をとても暖かいラストに導いていて、感動しました。

「ハーメルンの笛吹き」の独特のテイストも凄くいいし、「ラプンツェル」や「シンデレラ（オチが怖いよ…）」も好編です。そして何より、ラストの「漁師とおかみさん」での本の締めくくり方とかは、やっぱ上手いな〜!って思わされました。

先生はこういうのは、お手の物って感じですよね。☆は4.5です。なお巻末には、月刊少年チャンピオン掲載のショートショート「ろくろくび（6頁）」を特別収録してます。

「赤ずきん」
「ヘンゼルとグレーテル」
「ラプンツェル」
「ハーメルンの笛吹き」
「眠れる森の美女」
「シンデレラ」
「夏の庭、冬の庭」
「白雪姫」
「長ぐつをはいた猫」
「青ひげ」
「オオカミと7匹の子ヤギ」
「漁師とおかみさん」

「ろくろくび」Another Story
おはなしの原点（各童話のあらすじです）
あとがき