73年発表。第一期マハビシュヌ・オーケストラで素晴しいドラムをプレイしていたコブハムが、グループが一旦解散した後に発表したソロ・アルバム。同グループに参加していたヤン・ハマー(k)、後にディープ・パープルに参加するトミー・ボーリン(g)、リー・スカラー(b)、ジョー・ファーレル(fl、sax)、ジミー・オーウェンズ(flu-horn)、ジョン・トロペア(g)、ロン・カーター(b)、ライ・バレット(per) らが参加している。1.はハードなジャズ・ロック的な曲だが、ワウを利かしたギターの醸し出す土臭さが魅力。どことなくアメリカンなブルース・ロックを彷佛とさせる。飛び道具的な音遊びを加味したソロの応酬も聴きどころ。2.は純然たるドラム・ソロからフルートやサックス、エレピ、シンセ・リードなどのソロを活かしたフュージョン曲となる。サックスの活かされた部分では中期のソフト・マシーンにも通じる音楽性を披露している。3.も同様にドラムのソロからバンド編成の曲に以降する。ギターの雰囲気からのものあるだろうが、フュージョンと言うよりはジャズ・ロック的に聞こえる曲である。4.はシンセのS/Hにドラムスが絡む前衛的な前半から、土臭いジャズ・ロックに変化する曲。絶妙のトーンを聞かせるギターとファンクを感じさせるリズムが秀逸。5.は短いピアノ・ソロによるバラードからフルートとロン・カーターのアコベを活かした柔らかなボサノヴァに変化する。ヤンのソロがやや下品だが、それでもなかなかの佳曲。6.の前半はシンセによる多重録音による効果音的な曲であり、時代を感じさせるものの、現代のシンセでは出し難いだけに個人的にもおもしろかった。 ドラマーの作品ということで、ドラムのソロを前半に折り込んだ分かりやすい曲が目立つものの、そのソロは概ね短く、退屈することはない。また後半との良いコントラストになっていると思う。また実験的な要素も強く、そこは好みが分かれるかもしれない。楽曲は概ねジャズ・ロック/フュージョンとしては高品質な部類であり、特に土臭いのでここが個性だと言えると思う。
ロックファンの視点からのレビューです。
ディープ・パープル以外のトミー・ボーリンを聴くために購入しました。 トミーのギターを聴くには最適のアルバムだと思います。 テクニカルなドラムの中を華麗に舞うギターは聴き所いっぱいです。
全体を通してラテン調というかキューバ調というか、そんな雰囲気が漂っているのはトーキングドラムが使用されているせいだろうか。コブハムは終始リラックスした感じで、演奏中も片手でリズムを刻みながらタオルで汗吹いたり、ドラムの調整をしたり、かえってその余裕にびっくりする。でも肝心の演奏はさすがで、彼のするどい正確なリズムは健在。代表曲はちょっとおとなしめなアレンジになっており、物足りないが、全体的なバンドの演奏は高品質。とくにキーボードとパーカッションがいい味だしてます。
1973年、Billy Cobhamのソロ1stです。
「元祖・手数王」ことBilly Cobhamの初リーダー作になります。 MAHAVISHNU ORCHESTRA脱退後にリリースされたアルバムで、 内容は、JazzのクールさとRockの熱さを織り交ぜた、まさしく「クロスオーバー」なアルバムです。
演奏は、 Billy Cobham (Percussion), Tommy Bolin (G), Jan Hammer (Piano, MOOG), Lee Sklar (B) を中心に、 John Tropea (G), Ron Carter (B), Ray Barretto (Congas) etcです。
Billy Cobhamの超人的なドラムプレイに、 Jan HammerのKey, Tommy BolinのGが、熱演を繰り広げます。 特に、若くして逝ったTommy Bolinの熱演を、存分に楽しめる貴重な1枚です。
また、 収録曲「Stratus」は、Jeff BeckのLiveでも演奏され、「Ronnie Scott」にも収録されてます。
「Billy Cobhamファン」「MAHAVISHNU ORCHESTRAファン」は、もちろんのこと、 「Tommy Bolinファン」「Jeff Beckファン」にも、オススメの名盤です。 (このアルバムで、Tommy Bolinを気に入った人は、Tommy Bolinの「Teaser」を聴いてみてください。 Jan Hammer, Narada Michael Waldenと熱演した"Marching Powder"は、必聴です!)
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