以前発売されたDVD-BOXは、オリジナルフィルムからの ネガテレシネによるニューマスター使用だったのに 今回のコンプリートBOXはニューマスターではないのだろうか? アマゾンの商品説明不足なだけなのか?
この作品はレンタルにもなく以前販売されていた物はオークションで 高額取引されていたから、再販してくれたことは嬉しいんだけど。 ニューマスターで特典映像でも付けてくれたら☆5つだったね。
東京都内、 古本屋の2階を間借りする30代前半の童話作家「加茂 忍」、 石立鉄男扮するこの主人公、童話作家だけでは食べれないの でアパレルメーカーのサラリーマンをしている。 人生は忍(にん)の一字 ということで「忍(しのぶ)」と命名されたが、 けっこう短気で怒りっぽく、おっちょこちょいで、底抜けに人の良い、 この男、サラリーマンとしては冴えないが、なぜか同僚の大原麗子 扮する OLと婚約してたりして、それなりに人生をエンジョイしている。 そんな彼が、樹木希林扮する不思議な家出婆さんや、その孫娘の 渚(坪田直子)と出会って日常・人生が少しづつ変わり出す・・
コメディーやファンタジーな要素も十分あり、その面でも楽しめるが、 登場人物達が、夢と現実・愛と夢などの2者択一を迫られる切ない シーンが随所に発生し、気まぐれながらも厳しさから逃げない彼等の 生き様から学ぶ点も多い。 いつの時代・どの世代でも楽しめる、珠玉のドラマだと思います。
石立鉄男の主演作品は家族との”しがらみ”をテーマにした ものが多 いように思うのですが、 「気まぐれ天使」では、見事に家族の”しがらみ”を持たない(ひとりっ子 で両親は亡くなっている)”加茂忍”が、底抜けの人の良さ故に、 周囲 の人々に振り回されドラマが生れていくというもので、 私の感性にぴっ たり合いました。
石立鉄男さんの、ユニオン映画の後期の傑作だと思います。 両親の愛に恵まれない生い立ちをもった童話作家という設定の石立さんが、 ランジェリーメーカーのさえないサラリーマンとの、二足のわらじの奮闘の 人生を送る物語です。身寄りのいない石立さんと同じ境遇に育った大原麗子さんが、 社内恋愛で結ばれ、結婚をめざすというところから物語が始まります。
大原麗子さんから、酒井和歌子さんに、お相手の女優が途中で代わることでも 有名なドラマですが、お二人とも魅力をいかんなく発揮されていると思います。 脇を固める俳優陣も、樹木希林さん(当時は別の芸名)、森田健作さん、 秋野暢子さんなど、近年も活躍されている方、実力のある俳優の方が多く、 安心して観られます。
2003年に2つのDVD-BOXで出てから、約9年ぶりで発売ということで、ようやく 入手できました。 2003年のDVD-BOX1, BOX2は比較的早く完売した ようで、中古の在庫は高価でとても手が出るものではありませんでした。
2003年のDVDも、BOX1とBOX2をあわせて全11枚組でした。今回実際に届いて 全話見ましたが、2003年と同じマスターの再プレスで間違いないと思います。 退色やノイズは、まず気にならないレベルと言っていいと思います。
また、石立さんの生前、ほぼ同時期に発売された他の石立ドラマのDVD-BOX、 「パパと呼ばないで」「気になる嫁さん」には、石立さんのインタビュー等 が付録していましたが、2003年発売の「気まぐれ天使」DVD-BOX1, BOX2には、 付録はありませんでした。この意味でも、今回発売の11枚組みは、2003年の BOX 2個の製品仕様と品質的には同等と判断して問題ないと思います。
タイトルにもなっている「気まぐれ天使」は、
1976年から放送された、石立鉄男主演の同名 ドラマのオープニングソングでした。
スローバラードな曲調で、青春の日のほろ苦い 日常を唄っていますが、 ラスト部分の、 「まあ聞けよ、おれの話を、おれのはなーしをー、 だーれも知らない、でっかーい夢だからー」 というフレーズが、 放送当時、5年間海外で過ごした後帰国し、 日本人学校から広島県の中学に転校して、 イジメはなかったものの、 居場所を見つけられずにいた自分への応援歌の ように感じられたものでした。
今聴いても、ほっと落着く懐かしい感じの曲です。
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