リバのころよりもメロディーに力を入れているのがよく分かるので、 リバがいまいちな人もDPTは聴きやすいんじゃないでしょうか? そのことが半分うれしくもあり、また半分悲しくもあるけれど、 とにかくカールが戻ってきてくれたのが何よりもうれしい。 買って後悔するようなアルバムでは決してないと思います。 『ジン&ミルク』かっこいいなぁ…
アラーキーによる、ロンドンとパリの写真日記。もちろん、よくある「旅の記録」からは遠く、写真というメディアである以上「記憶」という曖昧さも、そこには無い。ただただ広がっている光景は、「都市」とそこに住む「人々」、たまに「裸体」。おもしろいのが、それらとアラーキーとの距離感。主観も客観も関係なく、カラダにしみこんでくる異国の匂いを写真で表現しているようで、なんだか「旅」をしているアラーキーの横にいるような気分になる。ARTをとっくに超えた、素敵な写真集である。
巻末に用意されている文章日記もまた、文筆家アラーキーの才能を一読できます。ぜひ。
この映画の主役はオドレイ・トトゥではなく、キウェテル・イジョフォーだよね。日本ではあんまり有名じゃないから、配給の戦略として仕方ないのかな。「ラブ・アクチュアリー」くらいしか知らないしね。感情を表に出さないけど、内面は愛情あるれる男。どうしようもない現実と闘う姿はカッコいい。 注目すべきは、舞台設定の巧さ。まず、メイン舞台となるホテル。劇中のセリフにあるように、ホテルとは、夜に汚らわしい(dirty)行為が行われたとしても、朝にはきれいな(pretty)状態に戻される場所。原題である「Dirty Pretty Thing」もここから来たのでしょう。また、オクウェの友人が働き、彼の避難所ともなるのが、病院。ここもまた、生と死という究極の人生ドラマが展開する場所です。しかも、オクウェが寝泊りするのは、遺体安置所という構図もスゴイ。そして、もう1つの重要な舞台が、空港。空港で客待ちするオクウェに始まり、空港で電話をかけるオクウェで終わる。空港とは、もちろん、出入国=旅立ちのシンボルであり、移民や不法入国者にとっては、とても危険な第一関門でもあります。このように、計算された舞台設定が、登場人物の現状や心情を映し出す鏡となっています。 移民問題や臓器売買といった現実的な問題を告発するだけでなく、人間として尊厳や意義、そして愛を鮮烈に描き、『臓器売買』がからむサスペンス・ドラマにもなっていて、けっこうスリリングな展開(大体読めちゃいますが)も、おもしろい。それでいて、この重いテーマをどこかファンタジーのように仕上げたのはうまかったね。冷血な支配人、お調子者の同僚、中国系移民の友人、友人(?)となる売春婦など、魅力的な脇のキャラクターがドラマをうまく盛り上げているのも特筆すべきですね。
ファーストはリバティーンズの暗い影を振り払うように、強気に、けなげに作り上げた力作でしたが、今回のセカンドはバンドの方向性をしっかり打ち出したこれまた素晴らしい作品だと思います。
ただ、プロデュース面で困難を極めたようで、アルバムのまとまりからいくと、デモトラックが混じっているかのような印象を受けます。
しかし、ファーストもデモトラックがボーナスとして入っていましたが、メリハリの点からいってもデモを間にはさむのはそれもそれでありだなぁと思っていたものですから、今回の雰囲気はけして嫌いではありません。
ただ不思議なものだなぁと思うのは、もともと、いい意味で肩の力を抜いたアルバムの雰囲気はピートドハーティがかもし出しているもので(ベビシャンのファーストとかそうでしたよね?)、とてもカールバラ−の持ち味ではない気がするのですが、出来上がったアルバムを比べてみるとまさに対照的で、ピートがセカンドをかっちりと作れば、カールがとっちらかったアルバムを作るのですからほんとうに面白いものです。
確かに『ロマンスアットショートノーティス』はとっちらかった印象を受けますが、どの曲もメロディが素晴らしいので、年月がたてばそのへんは解消されて名盤となっていくのではないかとも思います。
ただ、実際のチャートアクションやネットの感想などを見ると、ファンはこういうアルバムをカールに望んでいないのではと心配になります。
というより、ファンがカールに望んでいるのはやっぱりリバティーンズの復活なのだなぁと思うんです。
ピーターが自由奔放に生きている分、かっちりとバンドをまとめていけるのはカールだとみんなは思っているはず。去年のつかの間の再結成(といってもピーターとカールだけでしたが)やサージェントペッパーセッションでリバティーンズ復活の機運が嫌が応にも高まったものですから、ダーティプリティシングスの新譜はどちらかというとそれに水を差すような印象を受けるのではないかなぁとちょっぴり思うんです。
でも、僕はこの『ロマンスアットショートノーティス』を聴く限り、もうちょっとこのバンドも見てみたいという気になりました。
かりに全盛期の御大ジョージマーティンがこのアルバムをプロデュースしていたら、もっと違うアルバムになったはずですし、時と場所が違えばもっともっと評価されるべきアルバムだと思うし・・・。
というわけで僕もリバティーンズ復活は大歓迎なのですが、二人の冒険をもう少しだけ見届けたいと思うわけです♪
頑張れ、カール、そしてピーター!!
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