以前発売されたテント期CDをいくつか持っているしレコードも全部あるとはいえ、それらを一々引っ張り出して聴き比べたりPCに取り込んで波形をキリキリ調べるようなことはしていない。けれども、この編集盤を聴いてみると中域と高域の解像度とバランスに明らかに改善があるように感じられた。要はサウンドが掴みやすくなっており、以前の盤にあったボケ感が見事に払拭されている。リリースされる時々のサウンド潮流に仕立て直すのがリマスタリングならば、今回は大成功だと思う。また廉価盤の企画ものかと考えて購入をためらっていたのだが、思い切って買って正解だった。おすすめ。
YMO世代の自分だが、YMOをきちんと聴いたのは散開してずいぶんたってからだ。YMOがまだ活動していた当時は坂本龍一氏とその周辺の人々の曲を夢中になって聴いていた。だから、YMOに何があったのか、どのくらいアルバムを出していたのか、当時メンバーがどんな葛藤を感じていたのかを知ったのは、のちに出た書籍によってだった。この本もその1冊だ。読み応え十分の本だと思う。
1982年にYENレーベルからリリースされ、永らく廃盤となっていた、待望の幸宏ソロがいよいよ復刻される。 45回転のLPサイズミニアルバムとのカップリングは「二人の陰に」、「使い捨てハート」(DISPOSABLE LOVEの日本語バージョン)や 「白銀は招くよ」など、前作のロマンティシズムを継承しつつ、 よりダンサンブルに幸宏氏のボーカルも艶っぽく、憑き物が落ちたかのような力強さに満ち溢れている。 このアルバムはとにかく日本語の使い方が格好いい。 「明るいサヨナラ」なんて言い切ってしまうあたり、 かつて彼が神経症を患っていたとは思えないほどに前向きだし、どんな状況でも、それを楽しんじゃいましょ、という 幸宏氏の姿勢が、この上なく頼もしかったり。 何と言ってもこのアルバムの音像の立体感、 解像度の良さは特筆ものなので、今回のリマスタリングで、 より間近にそれを感じることが出来るのが嬉しい限りだ。
復活を遂げたYMOの初ライブ映像。 全体に「BGM」「テクノデリック」の流れを受け継いでいるが、教授が主張する「癒し系」の音で表現されている。 でもそこはやはりYMO、最後の「ポケットいっぱいの虹」でのおふざけダンスや、アンコールの「東風」「ファイヤー・クラッカー」など客を喜ばせる演出がイイ。 最後のアンコールは旧YMOで最も人気だった曲を演奏するなどツボを押さえている。 それまで静まりかえっていた客席が総立ちになるところなど反応の急変ぶりがおもしろい。
「WILD&MOODY」発表直後のライヴにCMディレクター川崎徹製作の
シュールなコント(?)が挿入される。YMOの「増殖」「サーヴィス」
を思わせる構成。ライヴはICEHOUSEのIva Davisや立花ハジメが参加。
Ivaとのかけあいの「Disposable Love」が聴きもの。コントは現在の
目でみると正直???だが、中では幸宏の偽の貧しい生い立ちを感動的に
語る「高橋幸宏物語」が笑える。細野さんも涙ながらのコメントを
寄せています。
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