冴えに冴えまくってます。イヴァンミュージックの一つの到達点だと思います。様々な楽器も、コーラスワークも、歌声も、メロディも、リズムも・・全てが有機的に絡み合って宝石のようなポップスに見事に昇華されています。この時代のイヴァンリンスは、ちょうど70年代のスティービーワンダーとダブります。もう誰にも止められない状態で、素晴らしい独自性と創造性を、見事に普遍的な音楽として表現仕切っていて、どれもがとても美しいです。良心に誓ってお勧めできる名作です。
イヴァンリンスにアルバム丸ごとささげた、僕の大好きなジェイソンマイルスのアルバム。もの凄いアーティストが大勢入っていてお祭り状態になっているが、全曲通して聴いてみると実にセンス良く統一感のあるクールなアルバムになっていることが分る。2曲目のヴァネッサウイリアムスが歌う”Love Dance”が特に僕は好きですね。この曲のバックは、Dave KozとかRomero LubamboやCyro Baptist達になっているけど、ああなるほどミュージシャンの配役も上手いねジェイソンさん。すっきり音が溶け込んでいい感じに仕上がっているところが良い。それは他の曲にも言えているのですが、どれもそれぞれのアーティストの持ち味がうまく生かされていてとても音楽的。ジェイソン自身のライナーノーツによれば、マイルスデイビスがもともとこの全部イヴァンリンスに捧げるアルバムを作りたかったようですが、それを引き継いで彼が実現したみたいですね。あとはそうですね、StingとMichael Breckerの組み合わせは意外に良いですね。マッチしている。故グローバーワシントンJRの演奏が聴けるのもいい。(でもこれは能天気などうでもいい曲に聴こえましたが。。)そして、Brenda Russelはやっぱり凄い才能のあるシンガーだと改めて思いました。最後にイヴァンリンスご本人が登場するのですが、やっぱコブシが入って”俺様が本物のイヴァンリンスだ!”と言っているがごとくの強烈な存在感。凄いですね。CDが擦り減るほど(?)聴いてます。
その昔LDで出ていた名盤のDVD化&コンプリート盤。というだけでもはや充分にお買い得なのだが、まだリトナーが枯れ切っていない頃であり、天に召された名ドラマーのカルロス・ヴェガのベスト・ドラミングの瞬間が捉えられていることを考慮すれば、マストでしょう。グルーシンの繊細なピアノに絡みつくシンバルから、重深いポケットのグルーヴまで、とんでもないレンジでビシバシと迫るカルロスの剛腕たるや! ゲストも豪華で、イッキ見でもまったくダレないのは、この頃のフュージョンの勢いでしょうなあ...(遠い目)。やはり大音量でイクべし!
70年代前半はブラジルのアーティストたちにとって苦難の時代だったと言われています。 64年から始まった軍事政権の支配の下、厳しい歌詞の検閲が行われ、 カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルを始め、多くのアーティストが投獄や、外国への亡命を余儀なくされました。 抑圧的な社会状況の中、様々な隠喩や婉曲表現を武器に軍事政権に対抗するアーティストも依然多かった頃、 イヴァンは意外にも政治にはそれほど興味を示さず、純粋に音楽のことだけを考え、自分の身のまわりのことばかりを歌っていたそうです。 サンバ、ボサノヴァなどの自国の音楽にアメリカ産のジャズやソウル、 またラベル、ドビュッシーなどのヨーロッパの作曲家の影響など一見相反するもの同士を、 魔術師とまで謳われたハーモニーのセンスでもってひとつに紡ぎ合わせたこのスケールの大きいサウンドを聴いていると、 「モード・リーヴリ(=自由なモード)」といういかにも当局から目をつけられそうなタイトルにしても、 彼にとっては音楽的な境のなさだったりとか、もっと別の意味があったのかもしれないと思うことがあります。 当時ミルトン・ナシメント・グループの屋台骨でもあったソン・イマジナリオのメンバー他、 豪華キャストによる演奏や、イヴァンの伸びやかなヴォーカルに乗せられる言葉の一つ一つ、 すべてが軽く聞き流すことのできない希求力を伴って響いてきます。もちろん捨て曲など1曲もありません。 6曲目の「アブリ・アラス」は後にMPB屈指のコンビとして多くの名曲を生み出すことになる 作詞家ヴィトール・マルチンスとの処女作であり、後の快進撃を予期させる興味深い1曲です。
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