ハルカ 炎天の邪馬台国
古代日本が舞台となるシリーズ第二作。本作が後篇の位置づけ。
前作の舞台となったのは、天空に浮かぶ邪馬台国と魑魅魍魎が行き交う遠い過去の世界。
今作はこれに加えて、現代世界が大きく関わりあいます。展開はよりダイナミックに。
時代と時空、生と死――。越えられる筈のない様々なものを越える中で、前作で提起された「神」に関する謎が再び現れ、幾度となく疑問を生んでいきます。
そんな息も吐かせぬ怒涛の展開の中でも、わずかなページで物語を収束させていく手腕は、見事です。
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前作が出てからしばらく時間が経っているので、まるで記憶が飛んでしまっていましたが、問題なく入り込めるでしょう。二章あたりから予想外の展開があれこれと始まります。
前作のあの人があそこにいたらどうなったか――。
今作の一番の醍醐味は、前作で瞬く間に通り過ぎて行ったキャラクター達の、そういったIFの部分が前面に出ているところ、ここにあるんじゃないかと思います。
物語の重心が現代に移行しても、相変わらずの一貫したスピーディさで、物語は最後まで軽快に進行します。張政も前作よりはモラルがある。というか余計なことしてる暇がないんですね。その分、かなり集中して読めます。
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本作に至って、そこかしこに点在する前作の伏線の軌跡が綺麗に収斂し、ようやく大きな地図が描かれた。そんな印象です。前作を読んだ者からすれば、非常に見事なものです。
意外とページは多いのですが、読むのに時間もかからず、しかもコストパフォーマンスは高いかと思われます。イラスト集つきと言うことで。
前作だけ読んだ場合、モヤモヤしたままになる恐れが高いので、これはまとめて読む事をお勧めします。
天外魔境II
全曲中前半の17曲が生演奏、そのうち10曲前後が久石譲氏である。
たったこれだけ、と思うなかれ。主人公達のテーマ、フィールド上のテーマ、オープニング、エンディングとその存在感は圧倒的で完成度が高く、ゲーム中でも重要なポジションを占めている。
曲調も多彩であり、シンセやドラムが多用されるもの、ジパング(ゲームの舞台)を意識して和楽器が用いられるもの、純オーケストラ、ピアノ、コーラスと聴くものを飽きさせない。
CD後半のゲーム音源の曲と合わせて聴けば、愛する天外魔境の思い出が蘇ること間違いなしである。
天外魔境II MANJI MARU
PS/GC版の酷いリメイクを見た後だったのとバグがあるという事で躊躇していたけど、予想以上に忠実な移植で大満足でした。
全年齢対象にする為に一部イベントが差し替えられていますけど、全然気にならないくらい当時の雰囲気がそのまま再現されていた点を高く評価したい。
近年当たり前になったプレイ時間の長さだけど、その長さを感じさせないイベントの連続。
そして、RPGの楽しさが詰まっているので、古いゲームではあるけれど遊んでみて欲しい。
『温故知新』を体感する事で、今のRPGに欠けている所が見えてくる。
天外魔境2 MANJI MARU 公式完全攻略絵巻
攻略本としても資料的読み物もあってすごく良かったです。
攻略内容としては、シナリオフローチャートとマップが分かれていますが、フローチャートにちゃんとそのイベントが、
何ページに書かれているか載っているので、そこをひけばマップがすぐに引き出せます。データもきっちりと整理されているので見やすいです。
資料的読み物も新旧キャラ絵や今までの天外シリーズの流れ、天外2の世界観がよく分かる用語説明もあって満足です。
攻略で使うもよしクリア後に世界観に浸るもよしな、一度に二度おいしい攻略本で大変満足な一冊です。
ハルカ 天空の邪馬台国
お蔵入りした天○魔境3のシナリオを原案として書き下ろされた「没ゲーム供養」の企画(作者談)、ではありますが、ページをめくるとゲームでは倫理規定上表現できないくらい生々しくリアルな世界が待っています。
主人公は歳相応にスケベで格好つけでとりえの無い17才男子高校生。
彼はどういうわけか3世紀にタイムスリップ。そこで、言ってること滅茶苦茶で強引だけどいつも元気で、いつも皆を励まして、いつも前向きで、遠い世界から来た主人公を英雄と信じる少女ハルカに恋をします。果たして彼は少女の期待に応えることができるのか。
一人称の文体を通して、張政の苦しみ、焦り、悲しみ、そしてハルカを思う心や喜びがストレートに伝わってきます。
読み終えた後、邪馬台国の空のように爽快な読後感を味わえました。
とっつきにくい厚さと価格ですが、一読をお奨めします。