フランケンシュタイン (角川文庫)
未読のかたのなかには、フランケンシュタインという名が怪物の名だと思っているかたもいるかもしれません。
でもフランケンシュタインというのはじっさいは、怪物を生み出した科学者の名なのです。怪物には名まえさえありません。それがこの作品の哀感をより高めています。死体を繋ぎあわせて作られた名もなき怪物。
彼は人間としての愛情や感受性を持っていますが、その醜い容貌のために誰からも受け入れられることがありません。愛情や親切で人々に接しようと必死の努力をしますが、けっきょくは人々に迫害され、恐れられる存在としか扱われないのです。
彼の心は、生みの親である科学者フランケンシュタインへの復讐に向かいます。生みの親フランケンシュタインに尊敬と愛情を抱きながらも、復讐せずにはおれないという自己矛盾を抱えたまま。
怪物と科学者は対峙し、会話します。しかし彼らはけっして交じり合うことはありません。生と死が交じり合えないように、断絶された世界で二人は生きているからです。
孤独という概念を煮詰め、不要な混濁物を排し、高い純度で結晶化した文学作品。それがこの「フランケンシュタイン」です。
文学史上もっとも純度の高い孤独の哀感を感じてください。
伊福部昭特撮映画マーチ集
誰もが考えた、あるいは自分用テープを作ったであろう、伊福部昭氏の映画音楽「マーチ集」。
氏の東宝特撮映画音楽から、人気があり有名なマーチだけを集めたオムニバス盤で、聴けば士気は高揚、気分は揚々、燃えること必至です!
「ゴジラ」から「ゴジラVSメカゴジラまで」全30トラック・37曲・75分という長時間収録のお徳用CD。
ジャケ写からして、マーチといえば『メーサー殺獣光線車』!
昭和の特撮映画だけでなく、平成作品からは「ゴジラvsモスラ」「ゴジラvsメカゴジラ」(いずれもステレオ収録)、
特撮映画以外では「大坂城物語」「奇巌城の冒険」からも収録しています。
ボーナストラックの「闘志・天翔〜覇王・佐竹雅昭のテーマ」は、伊福部ファンであった格闘家・佐竹雅昭に提供された入場曲です。
伊福部先生は本当に優しいかただったのですね。普通、引き受けないですよね。
昔シングルCDとしてリリースされたものの中間部分をカットして再構成した、オリジナル・ショート・バージョンだそうです。
このCDでしか聴けない…ということは、逆に本当のオリジナルヴァージョンは、シングルCD(あるいは同曲収録の佐竹雅昭のアルバム)を入手しないと聴けないではないか。
気が効いてるようで効いてないような…。私は当時、迷って、結局シングルCDを買いました。
ブックレットでは各曲の説明に加え、伊福部先生への「マーチ」「映画音楽」についてのインタビューも5ページ収録されており、興味深い話を読むことができます。
巨人ゴーレム 新訳版 [DVD]
その昔、昭和40年代少年誌に写真が載っていてどんな映画だろうと思ってましたがここまで名作だとは!!ゴーレムけっこうかっこいいと思います。