主人公が、幼時に虐待を受け、心を閉ざした天才少年。いかにも、観客を感動させるために脚本家が頭の中だけで作り上げたキャラクターである。実際には、いくら天才であっても、幼時に虐待を受け、劣悪な環境で育った人間は知能が低下し、青年になるまで天才であるわけがない。
また、主人公が就職しようとしないことにも矛盾を感じる。ろくに学歴もなく、肉体労働者として働いていれば、強い上昇志向を持つのが自然である。幼児に受けた心の傷を原因とするだけでは、主人公が就職しないことの説明としては不十分なように思える。