老妓抄 (新潮文庫)
短編集なので、どれもこれも読みやすい分量でまとまっています。表題作『老妓抄』をはじめ、いくつかの作品に、その物語を最後にきりりッ!と引き締める、作者の詠んだ歌が素晴らしい味わいを醸し出しています。どの作品も印象的で、最近良く言われる、美しい日本語で、雰囲気も伝わってきます。この作品の中で一番のオススメは『蔦の門』と言う作品です。主人公の雇っている一人身の老家政婦と両親のいないお茶屋の娘との、血よりも濃い絆を描いた作品なのですが、二人の遣り取り一つとっても、情感を込めるのがとても上手く、泣けてきます。この一作のためだけでも読んでみる価値はあります。
仏教人生読本 (中公文庫BIBLIO)
西洋からのキリスト教的文化に真っ向から向き合わなければならない現代。そんな中で日本人は長年付き合ってきた価値観とのギャップに苦しんでいるのでは、と感じることが多い。そんな中で出会ったこの本をその心情を明確に示してくれていると僕は思います。軽く考えず重く考えず、中庸というものが仏教から来た考え方でありその中で生きていくことを明確に指摘してくれて、癒されます。
なんか、生き方に迷ったときに参考として読んでみても良いと思います。