「初恋のきた道」を観た時に、自然の緑に主人公の女の子が着る赤い服がきれいに映えているなあと思ったのを思い出しました。この映画でも緑と赤のコントラストが同じようにきれいです。でも、「初恋がきた道」の主人公がかわいらしい女の子だったのに対して、この「あの子を探して」の主人公、ウェイ・ミンジはぶすっとしていてお世辞にもかわいいとはいえません。
ミンジがぶすっとしているのは、自分と大して変わらない年齢の子供たちの先生にならなければならなくなったからです、お金のために。そんな彼女ですが、生徒と触れ合ったり、いなくなったホエクーを探しに行った街で苦難の数々に出会ったりしていくうちに、成長していき表情にも幅が出てきます。そしてとどめはテレビカメラの前で流す涙。自分も街で苦労をすることによって、迷子のホエクーの気持ちを推し量ることができるようになり、自分のためじゃなくて、彼のために涙を流すんです。お金のためなんかではなく、心の底から彼を心配して。
舞台は中国で、日本とは違う部分が多いですが、それでもこの映画にこめれらた監督の思いは、日本人でも十分感じ取れるものだと思います。
「初恋のきた道/あの子を探して」オリジナル・サウンドトラック
初恋のきた道、あの子を探してがカップリングされてこの値段はお得感が高い。もともとスコア数が少ないので、2作併せて1枚で良いのかもしれない。曲は映画を観た方は、すでにご存じのように素朴で詩的な美しい旋律で、特に初恋がきた道の曲は心に残った。ファンの方は是非買いかと思う。
あの子を探して [DVD]
現実の貧しさのなかで、人間に対しての、甘くないリアルな描写が胸を打つ。決して美人でもない主人公や美しくない都会の風景は、エンディングの映像の美しさを見事に表現しています。人間の厳しさや、たくましさを描くことで、チャンイーモウの、人間に対しての暖かい視点に、あらためてすばらしさを感じます。後半は涙が止まりません。名作です。