そんな中に登場するのが、『大人は判ってくれない』のフランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールである。ゴダールは本作で数々の挑戦をする。突然(半意図的に)カットを飛ばす「ジャンプ・カット」の技術やエキストラを使わない野外撮影は、顕著な例だろう。
しかし、本作の醍醐味は新しい技術にあるのではない。何と言っても、それは哲学的でハイセンスな科白・仕草だろう。男だったらベルモンド(ミシェル)のタバコの吸い方や口を拭う仕草に、憧れを感じずにはいられない。そして次の科白には誰もが舌を巻くのではないか。
(空港でのシーン)「パトリシア(ジーン・セバーグ):人生最大の野望は??」「作家:不老不死になって死ぬこと。」
全てはゴダールの腕なのだろう。フランスのみならず世界を席巻したこの名作こそは観るべきである。