『ドア→←ドア』は、ほんとにつまらない理由から人を殺してしまった男が細心の注意を払ってトリックを仕組んだつもりが、次々綻んでいく話。『七通の手紙』は手紙のやり取りだけで話がすすんでいき、その手紙の内容が意外な犯人をあぶり出します。短編の面白さが良く出ている作品だと思います。『過去が届く午後』は会社を辞めた友人が以前に借りていたものをお返しします、と郵便物を送ってくるのですが、次々に送られてくるものに少しずつ狂気が入り交じり。。。受け取る側の気味悪さが良く伝わって来ます。
どれも短編ならではの面白さがあって良かったのですが、一つ残念なのは、北森鴻氏の『バッドテイストトレイン』で、これは「メインディッシュ」に収録されてい!るものですが、その中の一編として読むからこそその良さ、意味があるのであって、こうして一つだけ切り離してしまうと魅力が半減してしまいます。従って、星マイナスひとつです。