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ウォーホース
70年は英米ともにさまざまなハードロック・グループがデビューしています。ウォーホースはVERTIGOレーベル、あるいはキーフのジャケットを収集している人にとっては避けて通れないグループ。しかし、このグループの出している音を正当に評価しているレビューはあまり見たことがありません。かく言うわたしも、最初に聴いた時にはそれほどのインパクトを感じずに終わっていました。
どうしてもディープ・パープルの音を期待してしまうんです。でも、実はユーライア・ヒープやグレイヴィー・トレインに近い音楽だと気づいたら腑に落ちました。(同じVERTIGOです。)オルガンの活躍する当時のブリティッシュ・ハードの音です。ハードネスというよりは、様式美を感じます。特筆すべきはギターのGed Peck。固いリフからサステインの効いたソロまで弾き分け、曲に彩りを与えています。ドラムズも意外にテクニカルです。残念ながらボーカリストに特色がなく、それが原因で曲の印象が残らないのだと思います。それを割り引けば展開の激しさは一級品と言えるでしょう。
レッド・シー
72年発表の2nd。ギターがジェド・ベックからピーター・パークスに交替して発表された作品。
1.は微妙にフュージョン風味を感じさせるポップな仕上がりながら、中盤にプログレ風味のスロー・パートを折り込むなど凝った曲展開をみせている。2.はギターのリフを活かした典型的なハード・ロック。ユーライア・ヒープにも通じる曲調だが、いぶし銀のような渋さを感じさせる味わい深い曲である。後半はナイス風(ロンド風と言うべきか・・・)の展開を見せ比較的長尺の演奏を聞かせている。3.は一聴するとブルース・ロックではあるもののラテン、ホット・ロッド的なテイストを加味しており、それをうまく消化している。中盤にはゴリ押しとも言うべきハードなギター・ソロが導入され、それがポップな歌メロに変化する瞬間が気持ち良い。3.はメロウなソウル風味のバラード。4.はブギー調のポップな仕上がり。涼し気なオルガンが印象的で後期のJ.ガイルズ・バンドのようなテイストも感られる。ヴォーカルのディレイが煩いが、ここまで過剰なのは珍しいのでここは聴きどころとして許すべきかもしれない。
前作は多分にパープルを意識した作品で、そこが魅力でもあったが、本作はおそらくはメンバーのパーソナリティーを活かした自然な作風となっており、アメリカン・ロック的な大らかで耳当りの良い作風になっている。多くの曲で鍵盤がかなり引っ込んで普通のロック・バンド程度の演奏となっており、それがまとまりの良さを生んでいるが、クセの強い音を好む人ならばやや物足りない部分はあるだろう。
グループは本作発表後に更にメンバー・チェンジを行なうものの74年に解散。ニック・シンパーは79年にピーターらと新たなグループ、ファンダンゴを結成してアルバムを2枚発表している。
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