富岡多恵子女史の作品は、とにかくパンチの効いた女性が多い。
加えて、諦観のような、達観のような雰囲気さえある。
セレブぶった女が考える『女はこうでなくっちゃ(ハート)』とか、
古典的な男性が求める『女性らしさ』などをお探しの方は
この本を手に取らない方がよいだろう。
生々しい〈女〉が描かれた「波うつ土地」「芻狗」「環の世界」
中でも「芻狗」は最高作品なのではないだろうか?
ちなみに芻狗とは、儀式のときに祭壇に捧げられる藁で作った犬のこと。作者・富岡多恵子は元詩人だったが、その後小説家になった。
この本に収められている作品たちは、コトバによる表現を失ってしまった
その後の人間の様子が描かれているように思う。