I LOVE YOU (祥伝社文庫)
版元の紹介に「奇跡のアンソロジー」とありますが
そのとおり。作った編集者はすごい気持ちよかったでしょうね〜。
順番も、ベストではないでしょうか。
とくに
「百瀬、こっちを向いて」「Sidewalk Talk」「突き抜けろ」「魔法のボタン」。
「百瀬、こっちを向いて」のなかには、コンクリの校舎の中で日々を過ごした人間なら胸をつかれちゃうと思う独特の感じ、「Sidewalk Talk」もシーンがぼんぼん見える。
「ずれ」が圧倒的な情景の想像を呼ぶのではないかな、と思いました。
皆、微妙に、ふつうの取り合わせからは、ずれた感じの設定ですよね。
偶然でしょうか。
僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)
主人公の通う大学院にやってきたゲスト研究員。彼女が既婚者だということはわかっていたのに どうしようもなく惹かれあってしまったふたり。
こんなふうに書くと 一時流行った韓流ドラマ?もしくは昼ドラ?
みたいな印象を抱くかもしれないがそこは中村航のストーリー。そんなのものではない。
微笑ましいくらいに爽やかに でも 互いを想う熱い想いがひしひしと伝わってくる。
出会っちゃったんだろうな 運命の人に。
落ちちゃったんだろうな 一生のうちに幾度もない本当の恋に。
直視してしまえば 今のこの幸せが
雪のように溶けて消えてしまいそうな 難しい現実がそびえ立っているというのに。
私が書くと こんなクサくて 陳腐になってしまうのに
この作品は声を荒げないことばで 淡々と でも確実にそれを描き、読み手に伝えてくる。
魅力的な脇役も秀逸。
「坂本さん」な木戸さん。キュートな妹。
ともすれば重くなりがちなストーリーに笑いを添え かろやかさを醸し出している。
あなたが提案した 万感の思いを込めた握手。
握手という行為でこんなにも涙したのは初めてですよ 木戸さん。
エンディングには賛否両論あると思いますが、
木戸さん曰く 「マグレと気まぐれしかないこの世」で
互いに出会えた「僕」とめぐは 厳しい現実はあれどやっぱり幸せだと思うし
こんな素敵な作品に出会えたマグレに 私は感謝します。
SAMURAI FOOTBALL vol.3 (ゴング格闘技2012年1月号増刊)
巻頭の香川真司特集、不調から復活し、ふたたび輝きを取り戻すさまがしっかりとおさめられています。リーグ10節のケルン戦でのゴールシーンが素晴らしいです。
前号に続き、内田篤人も、前半10ページ、後半6ページの大特集。前半は、練習場での模様や現地ファンにフレンドリーに応対する内田のやわらかい表情がおさめられています。後半「若き日のサムライ」では(今でも十分若いですが)、貴重な高校時代のジャージ姿から10番をつけて清水東をひっぱる姿、鹿島でのデビュー年、ユース代表、北京五輪など、着実に歩みを進める内田の表情がみられます。
ノヴァーラの森本、バイエルン宇佐美の初ゴール(指輪にキス)など迫力ある写真も魅力です。
ハミングライフ 通常版 [DVD]
全体的にソフトなタッチで描かれた作品で、ストーリー自体は短いが、内容は結構ほのぼのさせられる作品。ちょっとした癒し系といったところ。
別段真新しいものでもないが、しかし何気ない日常で、忘れてしまった何かを思い出させてくれるような一面も。
上京したてで凹み気味な方は、ぜひ公園を散歩してみてください。もしかしたら、そこには不思議な出会いをくれる不思議なワンちゃんがいるかもしれません。まあ、ワンちゃんではなく、何気に木の根元に置かれた箱の中にこそ、不思議な出会いへの扉の鍵が入っているんだけどね(笑)。