A Virgin and a Whore
このバンドを語る上ではずせないのはキーボーディスト、Pasi Hiltulaの存在であろう。メロデスというジャンル上、「主役」は「デスボーカル」または「ギター」というのが定番であるが、彼の演奏能力、またセンスにおいて、全曲にわたって明らかに「主役」達を凌駕している。しかし、ソロのように前面に出てくる時以外は、彼は「裏方」に徹している。その絶妙のバランスがこのアルバムを1段も2段も上へ昇華させている。
問題点は線の細いボーカルか。しかし時にはクリーンボーカルで歌い、その可能性を次作へと期待、といきたいところだが、このアルバムを残し解散してしまった。メロデスの力強さとゴシックの儚さを兼ね備えた素晴らしいバンド、今作はその最後にして最高傑作であろう。
Chaotic Beauty
フィンランドのメロデスバンドの3rd。前作より大幅にレベルアップしており、何よりドラマティックであり泣きまくりの楽曲がいい。キャッチャーなメロもあるが、ピアノと涙腺をぶち壊す泣きのリードが悲哀のドラマ性を見事に打ち出している。バラードでキンバリー・ゴスも参加。現在ではもうここまでの完成度は作れないだろうなぁ…"
チルドレン・オヴ・ザ・ダーク・ウォーターズ
前作の最後を飾った"Angelheart, Ravenheart"に圧倒され、その続章である曲で幕を開けるということで大いに期待を膨らませて聴き始めました。その1曲目は、前作の興奮を引き継ぐものではありませんが、その後に続く曲また曲のシンフォニック、絶望感の演出が並ではありません。
最後の"Nocturne Thule"にまた圧倒。前作を聴いたとき "Angelheart, Ravenheart"を超える曲はそうは出せないだろうと思っていましたが、容易に超えてしまった感じで、バンドの格も一段上がったといってよいでしょう。
ちょっと路線は違うのですが、SENTENCED亡きあと、同等の悲哀さに浸れる曲というものになかなかめぐりあえなかったのですが、同郷(フィンランド)のETOSにめぐりあい、心の隙間が埋まった感じがします。