雪と氷の旋律
エンヤ3年ぶりのアルバム。クリスマスを意識した作品と聞いたので、エンヤらしからぬにぎやかなクリスマス・ソング集になるのではと怖れていたが、杞憂だった。本作でもエンヤの、我々の心に積もった塵を洗い流してくれる音世界は健在。クリスマスのトラディショナル・ソングはM4(15世紀のフランスの曲で歌詞はラテン語)とM12(歌詞はゲール語)の2曲だけ。クリスマスにまつわる歌詞の曲が多いが、クリスマスと直接関係しない、冬の季節に思い巡らす心の動きを歌った曲(M5、M7等)もある。本作は単純なクリスマス・アルバムではない。
1曲目のシェパード・ムーンを連想させるインストゥルメンタルから惹きつけられる。M2は清楚なエンヤの歌声で自作のクリスマス・ソングを聴かせる。M3はクリスマスを迎えるワクワク感に満ちた明るい曲。エンヤのよい意味で期待を裏切らない曲が多くを占めるが、新しい試みにもチャレンジしている。手拍子を加えたパーカッシブな音が印象的なM5。そしてビートルズ的な曲で歌詞にアビー・ロードを横断する4人の男(1人は裸足)が登場するM11が新鮮だ。エンヤの曲でエレキ・ギターが使われるのはこの曲が初めてではないだろうか(記憶違いだったら御免なさい)。
もっとも、いつものエンヤの音が好きな私は、M6〜M10の流れが特に好きだ。M6はライアンの「ありふれた物の中に奇跡は隠されている」という歌詞が胸に響く。M8はおもちゃの太鼓をイメージするリズムが印象的だが、21世紀のクリスマス・ソングの古典になって欲しいと思う素晴らしすぎる曲だ。
添付の小冊子のエンヤの写真も文句なし。結論として、3年待ったかいがある、心温まる秀逸な作品だ。M4、M12の歌詞対訳がない点だけが唯一の不満(対訳がなくてもいい曲かもしれないが)。
武士の家計簿(初回限定生産2枚組) [DVD]
民間の会社組織にしろ、公的な官公庁にしろ、それぞれに担当するものがあり細分化されている。
中でも専門職に就く者はプロフェッショナルであり、部外者には容易に理解できるものではない。
特に組織の要となるのは経理部門であろう。
その企業が繁栄するのも没落するのも、この部署へいかに逸材を配置するかで大きく左右する。
『武士の家計簿』は、加賀藩に代々仕える御算用者(経理係)を務めて来た藩士の物語だが、なんとも崇高で汚れのない精神性を見たような気がした。
帳簿とにらめっこし、そろばんをパチパチとはじく姿は決して華やかなものではない。
むしろ武士道からは対極したところにあるようにも思える。
だがこれこそが、日本人気質の基でもある質素倹約の姿勢を、改めて認識させてくれる作品だった。
私は貝になりたい スペシャル・コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]
本当に文句なしの素晴らしい作品!! 誰でも一度は泣くと思います! まぁ過去のレビュー見ると涙も出ない情のない奴もいるよぉですが、そんなかわいそぉな奴はおいといて皆さん一度見て下さい!!
南極犬物語 (ハンカチぶんこシリーズ)
ドラマの「南極大陸」の第一話を見て、気合いの入ったよくできたドラマだなと思いました。
それからこの本を知り、小学6年生の息子に読ませようと買いました。
息子は、犬たちを南極に置いていったことをすごく憤っていました。
何とか連れて帰ることはできなかったのか、と。
私も読みましたが、悪天候をはじめ、いくつかの要素が絡み合って、それ以外の選択肢がない状況に陥ったとはいえ、息子と同じく、それが残念でなりません。
当時、日本中の人たちも同じように憤り、犬たちを助けて!という声が殺到したそうですが、一番悔やみ、悲しい思いをしているのは、犬たちと苦労を共にした隊員たちだというのも、この本から痛いほど伝わってきます。
東京タワーに、第一次南極探検で置き去りにされた15頭の犬たちの像があることを知りました。
息子と東京タワーに行く機会をつくって、犬たちに手を合わせて、彼らの冥福を祈りたいと思います。
日本が独立国として再出発し、国際社会に復帰する過程で、このような献身的な犬たちの犠牲があったということを、多くの人に知ってもらいたいです。