日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ
課題定義書など企業内文書の紹介もされており、非常にリアリティーの高い内容です。こういった情報を開示するのは、それだけ強い自信を持っておられる証だと思います。自信は実績に裏付けられているでしょうから、そのまま自分の会社に導入できなくとも、その発想方法を元にアレンジすれば大きな成果を導けるのではないかと思います。
企業変革の一般的な教科書で述べられているところの概論ではなく、実際の企業の営みを当事者への取材に基づいて分かり易く記載されていますので、企業変革を志すサラリーマンにお薦めです。
トップダウンとボトムアップの適切な融合とでも言いますか、上下間の風通しに悩みを抱えている企業経営者にもぜひとも呼んで頂きたいですね。
SQ “かかわり”の知能指数
あたりまえである。遠くの親戚より近くの他人。
筆者は以下のように論を進めている。
震災半年後に行われたインターネットによるアンケートにより人と関わりを持つ人の方が持たない人より幸福感を感じていることをデータで示し(第1章)、次に現代の日本が黄金期(高度成長期)の気分のまま低成長時代(そして再び黄金期は来ない)をジタバタしていると過去数十年の日本社会の変遷を踏まえながら述べ(第2章)、十数万人規模の都市を核とした新しい生活スタイル(ショッピングセンターの活用、地縁の推奨など)(第3章)、これからのあるべき人材像として「コーディネート力のある人」「グローバルに考え、ローカルに活動する人」であること(第4章)を説く。
言ってることは概ね賛成だが、新鮮さに欠ける。ショッピングセンターの考察なら「思想地図β1」に詳しい。今更SchumacherのSmall Is Beautifulはないだろう(これは評者の卒論のテーマである)。
ちなみに、評者の巻末「SQチェッカー」は「ロンリージコチュー(つまり最低点)」だった。
2012年版間違いだらけのクルマ選び
徳大寺氏と島下氏の二人体制で新たに始まった、
新しい間違いだらけのクルマ選びの第二弾です。
相変わらずテレビや新聞でしか、
クルマに関するニュースを見ない人には、目を見張る内容です。
それが"間違いだらけ"の基本的なクオリティです。
今回の一番の目玉は3大特集でしょう。
島下氏が取り仕切るような形で書き、
それとは別に徳大寺氏が意見を述べる形は、
2人体制の利点をしっかり生かせてます。
これはとても良い傾向だと感じました。
この2012年版を読んで特に感じたのが、
徳大寺氏と島下氏違いです。
二人の違いが2011年版よりはっきり見えてきました。
同じように毒づいても、徳大寺氏の批判の方が深く、只者ではないという感じですが、
島下氏は批判もそこまで深く突っ込めてないものがいくつかあり、
普通の車好きの延長線上にいる、かなり詳しい人という印象を受けました。
ただ、両氏の車批評は相変わらず、日本の車を求める圧倒的多数の大衆の意識とは乖離しています。
しかしながら、それはそれで彼らの個性ですから、まぁ良いでしょう。
そもそも、車とは実用性はもとより、趣味嗜好でも選ぶものですから、
個性の延長線上にある偏見であれば、全否定されるべきものではありません。
それでも、そのような否定的な意見が出てくるということは、
単に自動車ジャーナリズムだけでなく、日本のジャーナリズム全体においてもプラスになることではないでしょうか。
そう考えると徳大寺氏の偏見にまみれた、これまでの"間違いだらけ"は偉大だと感じてしまいます。
昔みたいに毒が無くなったと感じられる方もおられるやもしれませんが、
最近の車はそこまで言うほどの欠陥はなくなってきているから。と考えるべきかもしれません。
しかしながら、最後の車種別採点簿ですが良否の差がかなり激しいです。
この辺り、結構賛否を呼びそうな感じがします。
本当に優れた批評とは、否定するにしても肯定するにしてもその根拠がしっかりしたものでなければなりません。
この間違いだらけ2012年版は、昔の間違いだらけのような独特な徳大寺ワールドはあまりみられなくなりましたが、
2011年版よりは良くなってると感じました。