amp-reflection
ちょっと危なっかしい感じのする若めの歌詞と、
コード感のある叙情的なメロディ、
声がよくて一生懸命歌う女性ボーカル、
という感じから、
アニメ系なのかな?と思い込んでいましたが、
あきさせないような細かいコードの変化や、いろんな音使いなど、
洗練されているなと思わせる部分がたくさんあり、すぐに好きになりました。
すこし未来っぽい感じもします。
一度好きになってしまえばちょっとくさいかなと思えるようなメロディや
歌詞も、むしろ大好きになって何度も聞いてしまいます。
聞き流してしまうと、邦楽の一バンドとしてスルーしてしまうかもしれない
際どい(誤解されやすい)立ち位置にあると思いますが、それもまた個性的で
実は充実した内容のアルバムです。
いいと思います。
新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)
標題のとおり、著者による近代文学の名作リミックス5編です。
行方不明となった文学狂いの青年と、かつての麻雀仲間との再会を描く「山月記」に始まり、登場人物がそれぞれの作品にかかわる様子は、藤沢周平の「本所しぐれ町物語」に通じるようにも感じます。原作と同じ表現を微妙にからませながら、おバカ方向まっしぐらの暴走だったり、切なさ倍増だったり(どちらの路線でも、心理描写がリアルでうならされます)…文学好きのツボを心得たコンビネーション攻撃を心から楽しめます。それぞれの作品と、原作が持つ緊張感が見事にシンクロしているところは「まいりました!」というほかありません。こういった連作集では「これが好きで、これはちょっと…」という順位ができてしまうものですが、どの作品も甲乙つけがたい面白さです。
舞台となる街の様子も、あたりを知るものにとっては「あそこ、そういうヤツいるよな」「そうそう、あのあたりはね…」とくすくす感を倍増させるスパイスとなっています。
森見作品を手に取るのはこれが初めてですが、「しまった、他の作品をもっと早く手にしていれば!」と悔やませるパワーがあふれています。装丁も小粋で、文句なく☆5つの評価としたいと思います。
【Amazon.co.jp限定】『東のエデン』 Blu-ray "Noblesse Oblige" BOX(表紙描き下ろし設定資料集付き)
化物語をかわきりに単巻で発売されていたBDがBOXになってきました。単巻かBOXの選択にさらに悩みますね。この作品は攻殻機動隊のTVシリーズを監督した神山監督のオリジナル作品で注目されていた作品です。序盤はものすごく面白くてわくわくしましたが後半にいくほど個人的にがっかりしました。TVシリーズはまだいいですが、映画2作品はあまり映画という感じがせずTVスペシャルのような感じで単調であまり面白くなかったです。しかし、見て損したとは思いません。序盤のストーリーと全体の世界観、羽海野チカ先生の書く魅力的なキャラクター、OP,EDの楽曲など見所はありますので1度見て見てもいいと思います。このBOXはTVシリーズ全11話に劇場版2本、総集編1本がコンプリートされてます。
小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)
昨今ライトノベルが原作のアニメが多い中、第三者による外伝的なものではなく本人が小説化しているという珍しい作品です。
本来アニメ畑出身の神山監督の為、構成や描写の書き込みはプロの小説家とはやはり差を感じてしまいますが、非常に読みやすく、口語体多様で中身の無い凡庸なラノベと比べるのは失礼なくらいです。
記憶喪失・突然騒動に巻き込まれるヒロイン・大スケールな展開、などなど帯裏の情報だけで食いつく要素がたっぷりで中身も決して裏切ってはいません。
とかく日本人は出る杭を嫌うタイプですが、現状維持で満足する大人と閉塞感や理不尽さに不満を抱きつつも行動しない若者達によって作られ、蔓延してきた日本の「空気」を破壊せよという滝沢への命題はそのまま我々への問題提起とも取れます。
08年末の金融危機についても文面で触れられているように、この作品が持つテーマはまさに現代の日本人が考え直さなければいけないのかもしれません。
またこの作品では[飛行機事故に遭った2人の子供][播磨学園都市][スラム化した東京]など、同じく神山監督が指揮を執った攻殻機動隊S.A.Cと同軸の世界観であると思わせる描写が多々あります。攻殻の舞台は2030年ですが、東のエデンの時間軸である2011年以降の情勢を攻殻で知っている人にとっては受ける印象が全く変わると思います。やはり情勢問題や民族問題についてのストーリー作りは流石としか言えません。劇場版も非常に楽しみです。
East of Eden: (Centennial Edition)
It is not often for someone to come across great reads that actually changes the person’s life. Reading Dostoyevsky’s “The Idiot” and John Steinbeck's "East of Eden" had a profound influence on me. There was so much to learn from those stories since they were so complete in treating humanity. In fact, these are deep, insightful and inspirational books that one can not easily throw aside after one has finished. These major classics are books to ponder about, books for us to think and reflect over and over. If you haven’t read this great piece of American literature, then I suggest that you do so.
I also recommend: Anna Karenina and Disciples of Fortune―these are two other classic works.