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フランス映画社 ルルドの泉で [DVD]

評判になってはいるものの、最初はちょっと見るのがだるい映画かなぁと思っていたのですが、一気に引き込まれてしまって結局2回見てしまいました。万病を治すとされる奇跡の地、ルルドの巡礼ツアーを淡々と撮っただけの劇映画なのですが、まず何と言ってもロケーションの迫力がすごい!圧倒されます。また巡礼ということでしみじみしたお遍路の旅みたいなのを想像していたのですが、これがまた団体ツアーのアトラクション体験みたいな風情で、これだけの数の人々が集まってくるので当然といえば当然なのでしょうけど、そのただの観光地のような風景は皮肉な感じがします。実際さほど信心深そうでもなく、孤独を紛らわせるため半分観光気分で来ているのが主人公なのですが、その彼女に奇跡がおこった時に周りの人間の心の闇が微妙にすけてくるといった実に知的で冷たいミステリーといった雰囲気に映画はなっていきます。これ何かミヒャエル・ハネケっぽいなぁと思ってたら、本当にこの監督はハネケと関係があるそうです。実際に画面をしっかり見てないと見逃しそうなサインがあちこちに散りばめられてるところなんか、実にハネケです。主人公と同室の女性の存在がまず謎です。彼女は肉親なのか主人公に何かを感じたただのおばさんなのかはわからないですが、いきなり(地味ながら)暴走しはじめるところが何ともいえません。記念撮影のシーンで何故か顔を隠す介護師のチーフも謎。その仕事熱心なチーフにも後半に事件があって、そこもそうだったのか!と本当に驚きです。でこの写真撮影に、きっと男といちゃいちゃしてて遅れたのであろうに、ちゃっかり割り込んで入ってくる可愛い介護ボランティアがいるのですが、彼女が絶品。彼女の存在がこの淡々とした映画のいいアクセントになってます。演じるのが“ミッション・インポッシブル”の最新作でイケイケの殺し屋を演ってたレア・セドゥ。気紛れの自分探しでボランティアに参加したけれども段々やる気がなくなっていく様が何とも言えません。この映画、真摯に作られているのか、皮肉に満ちているのかはわかりません。私が宗教と縁がないものですので(この映画で流れている賛美歌にも、あイージーライダーでかかってた曲だ程度しかわからない人です)このような感想なだけかもわからないです。実際にキリスト教の人が見たら韓国映画の傑作“シークレット・サンシャイン”並みの問題作なのかも知れません。奇跡は起きてもその効力がきれることがあるという事や、神様がいるのなら何故幸福な人と不幸な人がいるのかといった事が台詞で交わされ、1人でパフェを食べたり2人で踊ったり程度の喜びを味わって満足だった主人公に不安が広がり、そこに能天気な唄が流れ(ここでもイケイケのレア嬢大爆発)るクライマックスに何ともいえない気持ちになります。状況によって変わる人と人の距離感の残酷さを鋭く描いてあるような気がします。 ルルドの泉で [DVD] 関連情報




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