銀行の警備網知り尽くした強盗が、用意周到に犯行に及んだが、金庫の現金はたったの1、100ドルだった・・・。仕舞いには、あっという間に警官隊に囲まれ、逃げ場を失い持久戦覚悟で銀行にたてこもる。ニューヨーク・ブルックリン、1972年夏に起こった実話を映画化。監督は、社会派サスペンスの巨匠シドニー・ルメット。主役の二人をアル・パチーノと故ジョン・カザールが演じる。上映時間の2時間で、当時のアメリカ社会が抱える問題、「同性愛」や「ベトナム帰還兵の心の病」などを浮き彫り。切実に問題提起してくる。劇場公開されたのが、1975年だと考えると、かなり早い時期に社会の深層をえぐったと感じる。また演出面でも緊張と弛緩が繰り返され、飽きさせない。銀行強盗と人質との間に芽生える「ストックホルム症候群(異常下での仲間意識)」、銀行のまわり囲む野次馬をアルパチーノがあおるなど「群集心理」が見事に描かれている。ラストシーンの鮮やかな結末には、あっと驚いた。だが事件が解決したという爽快感よりも、当時のアメリカ社会がかかえる重たいムードに心が塞がった。社会派ドラマの秀作。文句なしで、星5つの評価です。 狼たちの午後 [Blu-ray] 関連情報
狼たちの午後(字幕版)
うだるような暑さのブルックリンの午後。楽観的で無計
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