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異変 太陽 大異変 スーパーフレアが地球を襲う日 (朝日新書)

本書は冒頭の序章で、いきなり、800年〜5000年に1回発生するというスーパーフレアが地球を襲う日をドキュメンタリー・タッチで描いている。ただ、それは、通信障害や大停電などの全地球規模の大混乱が起きるとするものではあるものの、筆者は「地上の私たちが放射線被曝で健康を害することはない」ともいっており、率直にいって、「ネイチャー誌に掲載を拒否されたという割には、この程度で済むのか」という安堵感を感じるものでもあった。しかし、筆者は後の第一章で、過去に地球上で何度も起きた生物の大量絶滅の原因は、途方もない規模のスーパーフレアで説明できる可能性があるとも述べているのだ。私は、生物の大量絶滅の原因として、第四章に解説がある宇宙からの「ガンマ線バースト」説があるのは耳にしたことがあるのだが、私たちのごく身近な太陽のスーパーフレアにもそんな恐ろしいシナリオがあり得るというのは、本当に大きな驚きだった。 筆者は、第二章でそのフレアが発生する仕組みを解説してくれているのだが、私のような文系人間は、まず、それ以前に、フレア、太陽風、プラズマ、プロミネンス、コロナといった同じような現象等を表わす文言が入れ替わり立ち替わり次々と出てくる度に、一々その違いを頭の中できちんと再整理しないと、何が何だか訳が分からなくなってきてしまうのだ。 本書の肝であるフレアが発生する仕組みの解説には、特に筆者の力が入っているようで、「何も素人相手に、そこまでしなくてもいいのに」と思ってしまうような専門的で難解な「磁気リコネクション」説なるものを、27ページにわたってぎっしりと詳説している。第三章の「ジョイの法則」、「コリオリ力」、「ダイナモ理論」を使った13ページにわたる黒点のメカニズムの解説も同様であり、こうした解説はほどほどで納めてくれないと、文系人間は読む気が萎えて、ギブアップするしかなくなってしまう。 ちなみに、筆者は、本来は宇宙ジェットを中心的な研究テーマとする宇宙物理学者だそうで、第四章、第五章では、宇宙ジェットの統一理論の話だけでなく、宇宙ジェットなどの「爆発現象」をキーワードにした宇宙の謎の解明にまで解説の範囲を広げているので、宇宙論入門書としても楽しめる。  太陽 大異変 スーパーフレアが地球を襲う日 (朝日新書) 関連情報