戦前のサイレント時代に岡田時彦というたいへん美男の俳優さんがいて、小津作品にも何本か出演している。芸域がとても広いひとで、悲劇のヒーローからドタバタコメディからなんでもできたそうである。残念ながら30代前半で肺結核のため他界して、トーキー時代まで生き延びることはなかった。 話は変わって、岡田茉莉子がこの映画に出演したあとで、なぜ自分にこの役をあてたのかと小津に直接問いただしたらしい。小津の答えが「岡田時彦の娘だから多分できると思った。」 簡単ですが、大変重みのある答えです。この映画における彼女の役はかなり難しい。その難役を見事に演じ切っているのはやはり「血」のなせるワザか? 亡き友の娘の嫁入り先を案ずる三人のオヤジたち(佐分利信、中村伸郎、北竜二)がいる。その娘の友人で、三人オヤジを手玉にとるチャキチャキ娘が彼女の役。本作の喜劇的なトーンを決定的にしているのは、三人オヤジと岡田の絶妙のアンサンブルで、まるでクラシック音楽の対位法のような効果を生んでいる。 「亡き友」の未亡人が原節子、娘は司葉子。司の結婚相手に佐田啓二。三人オヤジのなかでヤモメの北竜二が、他の二人に原節子と結婚しろとそそのかされて、すっかりその気になるのもおかしいし、彼らの会話にさりげなく、猥談が盛り込まれているのも一興。そしてカラー撮影に慣熟してきたと思われる小津の演出は、いろいろな意味で円熟の極みといえよう。他に岡田の斬新な衣装など、見所はじつに多い。 小津安二郎 DVD-BOX 第一集 関連情報
デジタルメイクアップ サトミン フェイス編
ご結婚おめでとうございます。最近ますます綺麗になってきたので化粧動画もあげてるし、化粧のテクが上がったのかなとか思ってま
Loading...