豪華キャストが繰り広げる悲劇的な笑劇。冒頭のシーンからして火星人が友好的でないことは明らかですが、地球人はひたすら騙され続け,結局友好関係なんか築けません。ただ生きようとする人間と、ひたすら殺そうとする火星人。全体を通して笑えるシーンがかなり多いけど、「人間の中にもこの火星人は存在する」っていう皮肉も感じられます マーズ・アタック! [DVD] 関連情報
とにかくくだらない魅力で観客を引き込みつつ、アメリカの歴史とそれが抱え続け、今なお続く社会的な未解決の問題を訴えた傑作だと思った。ふざけすぎのようなデザインの火星人たちが、友好を持ちかけるアメリカ人をめちゃくちゃに殺しまくるシーンはコメディタッチにしてはいても結構エグイというほかなく、火星人たちを何度も信じようとしてそのたびに裏切られるジャックニコルソン大統領以下の地球人には同情の念を感じずにいられない。しかし、ここで描かれている一方的な攻撃と悲劇の展開は、かつてアメリカ人が先住民達に対して行ったことと同じだし、大統領の「なぜこんなことをする?互いを尊重しあおう」という言葉は、殺されていった先住民の言葉であり、ティムバートンの「困難な歴史の上にも何かを積み重ねていこう」というメッセージの表れだろう。監督の「失われた文化」と「異形」の者達への敬意は、主人公の最後の台詞にも現われている。ふんだんなコメディにシリアスなメッセージを織り込んだ作品として、最高のものだと思った。 マーズ・アタック!【字幕版】 [VHS] 関連情報