ジャッキー作品らしい人情味溢れる主人公ですし、 スタント、アクションも中々良い具合に味付けされていて、 リメイク作品だと感じさせないテンポ良いギャングコメディに仕上げてます。
(約2時間の作品でしたが、変にだれる事なく一気に観ることができました。 「ポケット一杯の幸福」を元ネタに他のクラシック映画からのモチーフが随所に感じられます。)
アニタ・ムイの挿入歌も中々の曲ですしジャッキーの演出も冴えている本作品、是非一度ご覧ください。
ディー判事シリーズもこれが最後。それにふさわしい盛りだくさんの内容で「読み終えるのが惜しい」と思いつつ最後まで一気に読みきってしまいました。物語そのものとも関連しますが、一種の喪失感をもってこの駄文を書いています。
ミステリのシリーズ物は数あれど、このシリーズほどコクのある、味わい深い作品群は少ないと思います。「半七」や「マルティンベック」、「きままなプリマドンナ」といったさまざまな名作のおいしいところをまとめて堪能できます。
三省堂から始まりちくま、中公とさまよい続けてきたこのシリーズの翻訳事業が、ハヤカワという最後の落ち着きどころを得て完結できたことにも、感慨を禁じえません。毎年ミステリ本のランキングが何種類も発表される中で、ディー判事シリーズがランキング入りした記憶もなく、版元が彷徨したのは売れなかったためだと思いますが、それだけに、ハヤカワの頑張りに拍手したいと思います。同時に、日本の読書界に失望を禁じえません。
ともかく、三省堂から出た分が容易に手に入らない状況は早々に改善すべきです(小生はそろえているので別にいいのですが)。そのためには、ハヤカワにもうひと踏ん張りしてほしいと思います。
シリーズ完結を機に、この奇跡の名作シリーズがもっと広く読まれることを望みます。
最後に蛇足ですが、その後のディー判事について知りたい方には原百代「武則天」(講談社文庫)を勧めます。長いのですが、とにかく面白い歴史大河巨編です。もっとも、この本も現在は手に入りにくいのかも知れませんが。
原著では前半に当たる部分です。 本書では、イノベーション経済(換言すれば知価社会だ)の到来、燃料問題 生命科学や医療の進歩、環境問題、そして極めつけはドラえもんの世界と言って も過言で無い未来(アンドロイドの普及、五感全てをカバーするバーチャル技術 そして宇宙へ居住・観光産業が成り立つ本格的進出)について取り上げています。
前述した各分野の予測の信憑性(可能性)がどうなのか?という点はさておき 技術革新が招く一つの未来という点では興味深く読めましたし、それが成しえ なかった時に人類が迎える危機的状況というのも昨今の時勢を見る限り納得 させられるものがあります。
先を見る一つの材料として読んでみるのも有りだと考える次第です。
アメリカを中心に2050年あたりまでの世界(と言っても下巻ではアメリカと 中国がメイン。それにインドがおまけ程度に触れられている)を予測してみた 一冊。
現在進行中のグローバリゼーションの功罪から始まり、アメリカの安全保障 アメリカの労働力、国家に於ける個人の権利と自由、中国の動静、そして アメリカと民主主義の将来について、好ましい未来とそうでない未来(著者の 言を借りれば「極端な未来」)を述べています。
そしてそれぞれの未来に世界が到達するにはどうすれば良いか(そうでない 未来の場合はどうすれば回避出来るか)という処方箋(例えば、グローバリ ゼーションは避けようが無い、テロを無くすには貧困撲滅と教育の向上 労働力不足は移民受け入れ)を提示しています。 本書でアメリカとされている部分は他人ごとでは無く、この国も同様の 問題を抱えています。公教育レベルの低下、労働力不足、テロへの準備不足 等・・・一個人が出来ることには限りがありますが、少なくとも現状の問題を 把握するだけでも、しないよりは、遥かに良いと思うのです。
そういう一助になる一冊です。
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