カントゥアリアはフリゼールのインターコンチネンタルズにも参加していたし(サントリーホールでの公演も忘れられない!)、カントゥアリアの過去のソロ作にもフリゼールは参加していたと思う。それが今回は二人だけのガップリ四つ。ギタリストが二人だから、渋いアクースティックな作品かと思いきや(そういう曲もあるけれど)、カントゥアリアがけっこうパーカッションなども入れてるし、それなりに厚い音の作品になっている。「メキシコ人の涙」というタイトル通り、スペイン語による歌唱の曲が多いけど、ポルトガル語の歌もある。素直なサンバみたいな曲も。英語の歌もある。インストもある。カントゥアリア、顔は飯場のおっちゃんみたいなイナたさが魅力だが、音作りはけっこうサイバーなSFテイストが持ち味だったりもするので、そこにフリゼールのエフェクターを使った音作りがよくハマる。フリゼールも自分の作品の時ももちろんいいんだけど、こうやって人の音楽を活かすための働きをする時もまた意外な魅力を出してくれるので、ファンとしてもちょっと目先が変わって嬉しかったり。プロデュースはおなじみ、リー・タウンゼンド。派手さはないけど、永く聴けそうな盤です。
VINICIUS CANTUARIA(1951年生)が、2010年「Samba Carioca」以来の新作をリリースしてくれました。 その曲調は、どんどんと内省的になってくるようですが、「Horse & Fish」あたりで彼の虜になったリスナーには、その不変の音楽世界が、たまらない作品だと思います。 たとえ、このアルバムの収録時間が30分をちょうど1秒切る程度の長さであったとしても、かえってその簡潔さが、好感を得るのではとも思います。 全曲とも、VINICIUS CANTUARIAのギター、キーボード、パーカッションを主体にしながら、坂本龍一(2曲目冒頭のシュールなピアノにびっくり)やBILL FRISELLなど、いつもの豪華なゲストが彩りを添えています。 軽く聴き流すこともたやすい作品ではあると思いますが、彼のつぶやくようなボーカルと、引きの美学で迫るそのサウンドには、世界一簡素な言語芸術である「俳句」になぞらえた、極めて次元の高い「音楽」を感じます。
あたらしいボサノヴァを創造しようとする意欲を感じます。ジョアン・ジルベルトへのリスペクトをビル・フリゼールと共演して示すあたり心憎い演出。アートワークも完成度高く買って損のない一枚です。三宅純さんの"innocent bossa" のキー・パーソンでもあり,かつてはカエターノ・ヴェローゾのバンドでドラムをたたいていた方とのこと。今後にも大いに期待!です。
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