このシリーズの特徴は、1.全会話(さらにト書き)の英語掲載 2.語句の解説 3.映画の字幕とは違った細かめの日本語訳 4.作品に関連したコラム記事 あたりにあると思う。 本書でもこれらの特徴は十分発揮されていて素晴らしいと思った。 (同シリーズ本でも2.や4.がないものがあり、通販で買ってがっかりした経験がある)
コラム欄の担当者は、英語文学を専門とする方とお見受けしました。 門外漢の私にはどの記事も大変参考になりました。
この映画は西部劇に分類されるのは間違いないが、ホームドラマの面もかなり色濃い。 登場人物たちの会話から感じ取れる微妙なニュアンスは、本書で初めて気付いたものが多かった。
例えば有名なラストシーン。 ジョーイ少年は、ガン・ヒーローのシェーンが当然戻ってくれると信じて疑わない。 他方シェーンは、もはや自分のようなガンマンが活躍する時代は終わったと言って去って行く(本書によると1890年のフロンティア消滅の頃)。 そしてジョーイ少年には「両親を大事にしろ」、「 straightな大人になれ」と言い残していく (ここでのstraightが自分のようなガンマン=人殺しになるなということだという)。 この映画の時代背景や簡単な語句の裏にある意味も知り、改めて名場面と実感した。
このラストに限らず、本書を見ながら鑑賞すると何倍もこの名作を楽しめるという感じだ。
このシリーズの宣伝文句は”映画スターが英語の先生”というものだ。 著作権が消滅するほど古い作品で、登場人物は全員亡くなっている(ジョーイ少年役は30歳で交通事故死)。 しかし、本書を手にする英語学習者のこころの中にはいつまでも生きていて、先生でいてくれるであろう。 ジョーイ少年も私にとっては今も英語の先生でいてくれている。
著作権が切れた作品のDVDが付いている版は、いままでの同シリーズ本より二まわりほど小さいサイズとなっている。 情報量が少なくなったというより、文字を小さくして携帯しやすくしたといっていいかもしれない。 その付属DVDには英・日とも字幕がない。売る側は「そのほうが英語学習に役立つ」と言っているが、 字幕があった上で選択できたほうがいいと思うのは私だけではあるまい。
この映画の番外的な話題で興味深いのが、「ラストシーンでのシェーン死亡説」と著作権の「1953年問題」だ。 本書では前者のみコラム欄で取り上げている。 生死それ自体よりもガンマンが活躍する時代の終焉を象徴していると見るべきとの解釈が示されており、なるほどと思った。
後者は、シェーンが発表された1953年から50年経過した2003年で著作権が切れるのか(旧法では保護期間50年) それとも2004年1月1日施行の改正法(保護期間を20年延長)が適用されて2023年まで保護されるかが争われた問題。 最高裁は2003年で切れると判断し(パラマウント側の敗訴)、 そのためシェーン、ローマの休日など1953年の作品の激安DVD販売の契機となった。
切ったはったのチャンバラと対比する拳銃。ワイルドバンチなどの銃撃戦も何とも言えず良いのですがシェーンの醸し出す人間味。開拓民のジョーや妻マリアン、そして一人息子ジョーイの家族愛。早々と撃ち殺される短気なトリーと、アメリカ人生劇場ですね。特にジョーイが、シェーンにあこがれる眼差しが、可愛い。邦画『麦秋』にも最高の子役の演技が見られますが、ジャンルを問わず子役の巧さが、その映画の鍵となっているようです。昨今のバイオレンス、DTSによる映画もとてもいい。しかし、いつ見てもホットするのも、映画の楽しみです。この廉価にもかかわらず、充分過ぎる映像です。ホットしたいときに引っ張り出して観ます。役者さんは、誠に大したもんだと思う一作がこの映画です。
1980年代以降、映像音楽の録音といえば、ジョン・ウィリアムズの指揮するボストン・ポップス・オーケストラとエリック・カンゼルの指揮するシンシナティ・ポップス・オーケストラによるものが、質的に突出したものとして存在してきた。 しかし、前者に関しては、オリジナル・サウンドトラックの演奏と比較すると、しばしば、演奏に生気を欠くことが多く、また、後者に関しては、近年になり、編曲に劣悪なものが増え、指揮者も精彩を欠くようになり、徐々にこのジャンル自体が魅力を失うようになった。 しかし、今世紀にはいり、日本フィルハーモニー交響楽団によってたてつづけに録音された6枚のCDは、上記の両横綱の録音と比較しても遜色のない、高水準の内容を誇るものである。 沼尻 竜典と竹本 泰蔵という有能な指揮者の的確な演出のもと、20世紀の古典ともいえるハリウッドの代表的な作曲家の傑作の数々が実に見事に奏でられている。 これらの演奏の特徴は、あえていえば、オリジナルの魅力を過剰な演出をくわえることなくありのままに表現していることにあるといえるだろう。 いずれの作品も、世界中に配給される映像作品の付随音楽として作曲されているために、もともと高度の娯楽性と表現性をそなえた作品である。 ここに収録された演奏は、それらの作品が堅実な職人性のうえに自然体に演奏されるだけで、視聴者に無上の歓びをあたえてくれることを明確に示していると思う。 いずれにしても、20世紀後半、正当な評価をあたえられることなく、ハリウッドの片隅において高水準の管弦楽曲を創造しつづけた数々の現代作曲家の労作をこうしてまとめて鑑賞してみると、あらためてそれらが実に良質な作品であることに驚嘆させられる。 そこには、紛れもなく、最高の職人性と大衆性が見事な結合を果たしているのである。 日本フィルハーモニー交響楽団による6枚のCDには、そうした身近なところに存在していた現代芸術のひとつの奇跡が封じ込められている。
この映画はかなりお薦めです。感動するし、1人の男の子が1人の女の子と話仲良くなり、恋に落ちてゆく事で、自分らしく、今まで意地を張ってた自分から少し大人になっていく様子が綺麗に描かれていると思います。こんな良いティーン映画にはあまり出会えないような気がします。MANDY・MOOREの歌声にも感激しました。
父がこの「シェーン」の大ファンだったので、まだ家にビデオなどなかった幼い頃から、TV放送のたびに繰り返し見た西部劇の傑作。いつぞや父の誕生日にこのビデオをプレゼントした覚えがある。 典型的な西部劇のパターンを踏襲しながら、一貫して少年の目から見たヒーロー=シェーンを描いた点に名作と言われる成功の一因があろう。アラン・ラッドの名演は言うに及ばず、シェーンに仄かな想いを寄せる少年の母役であるジーン・アーサーの美しさも忘れられない。「Shane,come back!」というあまりにも有名なラスト・シーン、ビクター・ヤングによる名主題曲「遥かなる山の呼び声」、どれをとっても涙モノである。一日も早いDVD化が待たれる。
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