ショッキングイエローのマイヨ・ジョーヌ。決して誰にでも似合う色ではないと思うが,ツールのチャンピオンたちのなんと似合うことよ! 実は英語版も持っているのですが,即・購入。 短い時間で100年を凝縮しているので,ダイジェストになるのは否めませんが(なので星4つ。時間が倍だったら5つにしていた),ツール黎明期の映像は必見です。未舗装の道路,タイヤチューブをたすきがけにする選手たち,今のママチャリの方がずっと軽いんでないかとつっこみたくなる変速機なしの当時の自転車(これでアルプス・ピレネーを登っていたかと思うと!),そして沿道の観衆の興奮が伝わってきそうな熱狂ぶり(これだけは今でも変わらない)。 コッピ・バルタリ・ボベ・アンクティル・メルクス・イノー・・・現代のサスペンスなし・スリルなしなシステマチックになってしまったツールでは決して見ることのできない,選手たちの勇姿に奮えるほどです。 ツール入門編としてお勧めです。
エディターレビューに書かれているような「気持ちよく」ということを私は感じなかった。それよりももっと崇高であり、気高く、しかし恐ろしいものを感じた。 この作品はコレッリが生前出版した最後の作品集で、彼は鬱病に苦しんで亡くなっている。その影響なのだろうか、通常我々がイメージする南国イタリア的な楽天さ(ヴィヴァルディをイメージするとよいだろう)とはまったく無縁の緊張感の連続。いやそれ以上にピーンと張り詰められた精神の緊張の糸がいつ切れてもおかしくない状態で、ぎりぎりのところで音楽は演奏されている。それは緩徐部分においてもけっして緩むことはない。そして最後の最後でそれまでの緊張感を一気に爆発させるかのように「ラ・フォリア」のフィナーレを迎える。 いつ聴いても聴き終わったときにはほっとする、恐るべき傑作だ。
ハンドルバーにかぶりつき首を左右にふりながら驀進するエディ・メルクスのライディング・フォームは、お世辞にも美しいとはいえない。だが、史上最強のロード・レーサーを挙げさせるとき、生涯500勝以上という前人未踏の勝ち星をあげたメルクスの名をはずすことはけっしてできないはずだ。
DVD内におさめられている本人や同時期を走っていたフランス人レーサーたちのインタビューを聞いても、メルクスのレーススタイルを快く思わなかった人たちは多かったらしい。チームメイトに頼ることなく、突如単独でアタックしそのままぶっちぎりで優勝をかっさらう。山岳賞もポイント賞も総合優勝も、メルクスが走り去った後には何も残らない。時にはライバル達と協力しあったり、人に勝利を譲るという気づかいがまるでなかった人のようだ。
本人もその点には気づいているようだが、インタビューを聞くかぎり悪びれている様子は微塵も感じられない。しかし、この偉大なるチャンピオンも自らの引き際については誤ったことを正直に認めている。77年のツールで内臓疾患をわずらいボロボロの醜態を観衆やプロトンの前にさらしたのは、強すぎたチャンピオンの懺悔のように見えたのは僕だけだろうか。
イタリアバロックのバイオリン小品を集めたCDである。
この盤の題となっている『悪魔のトリル』は、非常に簡素で分かり易く、 心に染みる旋律のバイオリン・ソナタであった。
他も名曲揃いである。夜眠る時に流したい。
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