70年代アメリカの田舎で続けられている黒人差別。 そこへたまたま休暇でその町にいて殺人容疑者として黒人というだけで連行された黒人警察官。 彼は優秀な刑事であり、その町の白人所長は戸惑いつつ小さな町で起こった殺人事件に協力するように頼む。 その町ではまだ人種差別として黒人を奴隷として扱っていたり 捜査の一環として黒人に話し掛けられることに戸惑う町の人々。 一歩間違えれば銃で殺されかねない状況の中事件解決に挑んでいく。 2003年の今でも反黒人街という感じの町があるという。 アメリカといっても広い。小さな町から大きな町、開けた町、保守的な町とさまざまだ。 この映画はそんなアメリカ社会を鋭くついたものでもあるし 事件をといていく過程がスリリングで楽!しめる。 見ている限り主演はシドニー・ポワチエだと思いがちだ。 だがこの映画でアカデミー主演男優賞を獲ったのは白人警察署長役ロッド・スタイガーであり明らかにおかしいと言う人がいるが これはあくまで白人の視点からとらえ、白人に問題を突きつける白人のための映画である。
気にいりました。思ったより、インパクトがあり、重量感もあり、大変満足しています。夏はプールの監視管理があるので、身に付けて、目立ちたいと思います。楽しみにしてます。色違いも欲しいくらいです。
1960年代を生きてきた人間には、ぐっとくる作品である。この作品が作られた当時の黒人問題を思うとき、同じ米国で黒人の大統領が誕生する日がくることを誰が想像できたであろうか。この作品のすばらしさは良くできたミステリーというだけでなく、当時の社会問題が交叉しているところである。スターリング・シリファントのシナリオも無駄が無い。ノーマン・ジュイソン監督も扱いにくそうな俳優達をまとめるのに苦労したと想像するが、適度な緊張感を保ちながら最後まで演出しきっている。名カメラマン、ハスケル・ウェクスラー(この人も気むずかしいと聞いたことがあるが)見事な仕事ぶりで、ブルー・レイによる高解像で再度鑑賞してみたい作品の一つである。主演のポワチエ以上に脇役のロッド・スタイガー、リー・グラントの演技に感心してしまう。スピード時代の世代には、テンポが遅映画と感じるかもしれないが、当時の観客はこのテンポについてくることが出来た。新しい世代の人には、そのようなことも念頭において1960年代の空気を感じて貰いたい。
ずっと探していた少し古いCDです。音質など中身に問題はなく大変良かったです。
レイ・チャールズが歌うこの映画の原題でもある「In The Heat Of The Night」をバックに、画面の奥の一点の光が徐々に大きくなり列車の灯りとなり通り過ぎていく渋いオープニングからグイグイ引き込まれる。このオープニングはこれから始まる殺人事件をめぐる「熱い夜」を暗示しているようだ。 この映画に殺人事件の謎解きを期待していると少々ガッカリする。そんなものはこの映画のテーマではないからだ。人間の持つ偏見がいかに危険なもので、冤罪を生んだり人間関係を崩していくものであることを中心に描いたドラマだからである。偏見で自分のやり方を崩さないロッド・スタイガー演じる保安官はその存在自体が観る者に不快感を与えるほどリアルだ(彼はこの役でアカデミーを取っている)。彼の存在は「許されざる者」のジーン・ハックマンに類似しており、何らかの影響を与えているのかもしれない。そして、この偏見だらけの保安官が主人公のシドニー・ポワチエとぶつかり合いながら次第に友情が生まれてくる点もドラマの面白いところ。 クインシー・ジョーンズの音楽や街の風景や綿花畑の映像は南部の雰囲気を十分表現しており、ドラマにリアルさを加える効果をあげている。最近にはない硬派の人間ドラマの傑作といえるだろう。 ところで、この「夜の大捜査線」という邦題は「In The Heat Of The Night」を訳したものなのだろうが、大捜査線というと何か大きな黒幕がいる事件を解決する映画と思いがちで(現に私は子供の頃この映画をそのような映画と思い込み初見のときはいささかガッカリした)、原題の雰囲気を出していないと思う。邦題の決め方に問題があるのではないかと思っているのは私だけだろうか。
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