バロック音楽を知るための本として読んでみましたが、この本はそれに留まらないすごい魅力があります。 トン・コープマンといえば、バロック愛好家なら誰でも知っている音楽家。世界的に活躍する人間がどのように音楽と接し、遥か昔の音楽を、どのような姿勢と観察眼で理解しようとしているか、音楽家としてのいろいろな「視線」が随所に感じられます。 単なる解説本なら評論家や学者にも書けますが、血肉となったことばは、彼のような音楽家ならでは。 バロック音楽云々というだけではなく、音楽家の勉強方法、生き方、姿勢を感じられるこの本の魅力は計り知れません。
バッハ没後250年記念の2000年に録画されたDVD。前半はオルガン曲、後半は「アンナ・マグダレーナのための音楽帳」や「シェメッリ歌曲集」収録の歌曲や小型オルガン、チェンバロのための作品などが演奏されている。 前半のオルガン曲ではドイツ・フライベルクの聖マリエン大聖堂のオルガンが使用されている。コープマンの演奏は往年の切れ味に円熟味が加わってすばらしく、音質も良好で映像も美しい。演奏するコープマンの手や足もよく撮られているので、実際に演奏される方には参考になるかも知れない。不満な点は、BWV565がトッカータだけしか演奏されてないところだ。この曲はやはり続いてフーガがないとどうも中途半端な印象がある。 後半はバリトンのメルテンスが主役である。コープマン指揮のバッハ・カンタータ全集でも不動のレギュラーを勤めているメルテンスは、さすがに伴奏するコープマンとの息もピッタリと合った、安定感のある名唱を惜しげもなく披露している。そのやさしく温かみのある声の持ち主は、風貌も声同様にやさしそうなおじさんである。「パイプの歌(BWV515a)」ではバロック時代のパイプを手でいじくりながら歌っているのがユーモラスだ。 バッハファンなら買って損なしの1枚である。
コープマンによる古楽器オーケストラによる演奏。
再生される音色は、暖色系で聴きやすいもの。 耳に慣れた第三番第二楽章の「エアー」も端正な美しさを 醸し出している。
CD一枚に全曲入っていて、内容を考えても、 とてもお買い得な作品だと思う。
コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団の演奏によるバッハのカンタータ6曲を収録したDVDで、オランダ・ユトレヒトのピータース教会ほかで1997年頃に録画されたものです。
収録曲は第106、131、140、147、211、56番で、初期から後期、ソロ・カンタータや世俗カンタータも含む、バラエティに富んだ選曲です。バッハのカンタータを初めて聴くという初心者の方からマニアまで、幅広く楽しめる内容となっています。
各曲とも始めにコープマンによる解説が収録されていて、時にはチェンバロを弾きながらの彼独特の畳み掛けるような口調の解説には思わず引き込まれてしまいます。演奏もCDの全集同様に、親しみやすくまろやかな味わいのあるすばらしい出来です。「コーヒー・カンタータ」ではカジュアルな衣装でちょっとした演技もしていて楽しめます。
ソロ歌手はボンゲルス、ラーション、グリム(ソプラノ)、マグヌス(アルト)、オディニウス(テノール)、メルテンス(バス)の計6名が参加しています。CDの全集にも参加しているメンバーなので、違和感なくコープマンの演奏と調和した歌唱を聴かせてくれます。特にメルテンスが第56番のソロだけでなく、全6曲にわたって安定感抜群の大活躍ぶりです。
約10年前の録画ですが画質・音質とも良好で、美しい教会内での演奏場面と古楽器や合唱の響きを存分に楽しめます。バッハファンにはぜひおすすめしたい、魅力的な「見る」カンタータのDVDです。
不満な点は第147番だけコープマンの解説がないことと、日本語の歌詞対訳が「コーヒー」以外文語訳であることです(杉山好氏の訳ではありませんが)。バッハのカンタータの魅力を多くの方々に普及するためにも、ここはぜひ口語訳でやっていただきたかったのですが・・・
高校時代 クラシック,中でもバロック音楽に興味を持ってから,44才の現在今も時々聞くことが有ります. 小生 少なくとも3枚の「フーガの技法」を所有. パイヤール室内管弦楽団,盲目のオルガニスト ヘルムート. ヴァルヒャ そして,最近出張先で見つけたベルアート.アンサンブル. どれも「バッハの遺作」にふさわしい解釈で出来上がっていて趣が有ります. 今回購入すれば,4枚目の「フーガの技法」になるわけです. この「バッハの遺作」の最大の魅力は,最後の未完フーガ「3つの主題によるフーガ」でしょう. 4つ目の主題が奏でられるはずであった事から,レーベルによっては,「4つの主題によるフーガ」となっている物も有ります. 最後の途中で「ぱっ」と消える演奏に250年前の傷心の中でこの世をさったバッハに思いを走らせているのは,私だけでしょうか.
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