何となく「アバドが振ってるから」と聞いてみた盤でした。 恥ずかしながら、マキシムの存在を知らなかった。 聞いてみると、音色が美しい! 使用楽器は、クロイツェルの前に貸与されていたストラディヴァリウス『ル・レーニエ』で演奏していた頃の録音です。すべての音程が的確で流麗に繋がっていく美しさは、グァルネリとは違った雰囲気があります。グァルネリでは五嶋みどり&アバド盤をよく聞くのですが、ストラディバリウスでは、この盤に手が伸びます。
このCDを聞いて、すっかりマキシムのファンになってしまい、彼の自伝も読んだのですが、その中では、このチャイコ協奏曲で弾くカデンツァを 録音日ギリギリまで なかなか完成させられず、アバドから催促を受けた、なんて書いてありましたが、とてもそんな短時間で完成させたなんて思えない出来栄えだと思います。 マキシムのCDは何枚か持っていますが、この盤は気に入っています。
1曲目のシベリウスはヴェンゲローフの美音がたっぷり楽しめます。バレンボイム指揮のシカゴ交響楽団も好サポート。ソリストがどちらかというと女性とも男性とも言えるまあ中性的なのに対し、オケは筋肉質の男性そのもの。好対照な組み合わせで面白いですね。この楽団のファンも満足でしょう。ただし首席ホルンのクレヴェンジャー氏は出てませんのでいささか残念か。それとすごいのがアンコールのヴェンゲローフの超絶技巧!実力世界一の定評も納得。ファリャは可というところか。前半だけで元が取れる感じ。それと、会場は他のレビューアーの方が書いておられたシカゴの本拠地ホールではなく、ケルンのコンサートホルです。
読み始めると止まらない・・・何度も何度も読み返しています。 以前CDを買ったときに、入っていたカードにも子供時代のことが書いてあったことがありましたが、 あの時感じた切なさをずーっと感じてしまいました。 と言っても可哀想だと思ったわけではないのです。 彼は幸せだと同時に何か足りないのでは・・それは何なのか。 何かを得るためには何かをなくさなければいけないのか?と考えさせられました。
幻想的な演奏でいい気分転換になりますよ マキシムはとてもいいですね
ヴェンゲーロフの「引退」に落胆したファンがどれだけこのときを待ち望んだことか。ホロヴィッツの「ヒストリカル・リターン」ほどの劇的さは無いとしても、それ以上の意味を持った奇跡の復活だ。
ロンドンのヴィグモアホールでのライヴだが、拍手も咳払いなども一切入っていない。プログラムは、バッハのパルティータ第2番とベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」がメインだが、これが実に対照的な演奏。自らの再起の歩みを確かめるような静謐なバッハに対して、ベートーヴェンは沸きあがる情熱に身を任せたような熱演。ピアノのゴランも見事に応え切っている。アンコールのヴィエニャフスキとブラームスに至っては、往年の力量を彷彿とさせる余裕の美演。ヴェンゲーロフの見事な「歌」が響き渡る。
ここにヴェンゲーロフは完全復活したと言ってよいだろう。今後この美音と歌がさらに磨きぬかれ成熟していくことに対し、否が応でも期待が膨らむ。この歴史的再起に、心からの拍手を送りたい。
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