10年以上前の作品ですが、色褪せすることなく、今でも十分鑑賞に値します。ユウジが妻を傷つけまいとして、真実を打ち明けられないままズルズルと時間が過ぎ、それが妻の疑いを増幅させ、嘘を重ねたことで深みにはまって行く。ストーカーのミチルもドンドン行動がエスカレートしていき、遂に家にまで押しかける。ミチル役の雛形あきこの演技もツボにはまり、見ていて恐怖を感じました。ドラマを見て、浅はかな行動が悲劇を生むという教訓にもなりました。
荒筋は他のレビューを見ていただいて、、、。テーマについて書きたいと思います。願いが叶うというゾーンの部屋にあなたは行きますか?僕も最初は行きたいなぁと思っていましたが、もしそれが自分の無意識下の本性を満足させるものだったらどうでしょう?この映画の中で、主人公とは別のストーカーのヤマアラシが、弟をゾーンに案内している途中にその弟を事故で無くし、ヤマアラシは弟を返してほしいという願いを持ってゾーンの部屋に入り、なぜか金持ちになってしまって、自殺したというエピソードが語られています。我々が思う望みとは多分表層的なものであり、現実に自分の身に起こったものに対する現実対処的なものなのかもしれません。例えば、金がないから金が欲しい、テストがあるから受かりたいといった、そういった現実対処的な表層願望と、意識下の本性が望む深層願望は違うものなのだということなのでしょう。だから、主人公のストーカーはゾーンにいろいろな人を案内してきましたが、誰ひとりとして、その部屋に入らないと嘆いています。誰ひとりとして「信用しない。」と。つまり、自分は何なのか?自分の望みは何なのか?自分は何を望んでいないのか?それさえも。自分自身で分からない。自分を信用していないということなのでしょう。僕自身もいろいろな欲望がありますが、深層願望はいったいなんなのか?それが叶ったとして幸せになれるのか?さっぱり分からなくなりました。例えば、金持ちになりたいという願いを持って部屋に入っても、ひょっとしたら自由に空を飛ぶ鳥になっていたりして、、怖いよー。つまり、私自身も自分を信用できなくなったのです。そして幸せとは深層願望を満たすことではなく、たぶん、表層願望を満たそうとしてつまづいたり、近づいたり、日々のご飯を食べたり、家族と語らったりというそんなところにあるのでしょうね。内宇宙を見せてくれるSF傑作ですね。最後のシーンは神秘的でした。ちなみにこの映画はタルコフスキー自身が美術を担当しています。凄い才能ですね。脚本はソラリスと同じスタニワムレムです。
オブリビオンやフォールアウト3などのオープンワールド系のRPGから成長要素を抜いたような感じのゲームです。 自由度だけでなく難易度も高めなので結構な回数死にます。 でもこのゲームにはキャラの成長要素が無いため どこか途中で詰まったとしても自分のプレイ技術を上げるしかありません。 そういう時に奮起してさらに頑張るか、やる気を失うかでこのゲームの価値は変わってきます。 面白いゲームではありますが、誰にでも勧められる物とは言えません。
すごく出来の良い日本語化MODがあるので英語ができない人でもプレイできます。 ただし、それを導入すると別の意味でプレイできなくなるかもしれません。 ただでさえ高い難易度がさらに上がるためです。
随分昔に(1990年代)テレビの深夜番組で見て、不思議な魅力を感じた。最近(1年半前)になって改めてDVDで鑑賞した。見ているうちに幻想的な世界に引き込まれる。ゾーンは自分の心の反映だとか、ゾーンは自分に絶望した人のみを通すようです。等の台詞が印象的だ。制作されたのは1970年代で旧ソ連ブレジネフ政権下だと思うが、直接体制批判は出来ないだろうが、その時代の退廃的な雰囲気が出ている。この映画は視聴者によって多くの見方と解釈が出来る不思議さがある。それにしてもロシアとは不思議な存在で、ヨーロッパでも無くアジアでも無く、資本主義でも無く民主主義でも無い。
タルコフスキー『ストーカー』を観て、気になったので読んでみましたが、どちらも傑作だと思いました。 どちらも「ゾーン」が何であるかは謎のままですが、映画では説明されたなかった部分が小説にはあります。『願望機』もぜひ読んでみたいです。
ヌーナンにワレンチンが語る場面、ぞくっとしました。「来訪」は「路傍のピクニック」かもしれない。ならば「ゾーン」はそれが去ったあとでしかない? SFの心地良さは、現実を遠く離れて俯瞰することだと私は思いますが、これほど遠い俯瞰もない。恐いほど遠く、心地良い世界観。この場面を恐いと思うからこそ、ラストが感動的です。映画のラストシーンも素晴らしかったですが、小説の方が好みかも。訳者のあとがきもとても親切、カバー絵が映画の一場面ではなく、小説世界的な絵(イラスト)だったらなあと思いましたが、些細なことです。 またいずれ、ゆっくりと読み返してみたいですね。こんなに良質の書籍をこれまで知らずにいたとは、不覚です。
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