初のソロCDと聞いて,びっくり。そういえば,さまざまな演奏家の伴奏者としてのCDしかなかったか?どこかオリジナル楽器奏者の演奏といった雰囲気もあり,安心して「バッハの世界」にひたることができる。特に「フランス風序曲」はすばらしい。こうなると,かつてLPで出ていたピアノ演奏による「パルティータ」や「フランス組曲」なども,ぜひCDで再発売してほしいと思う。しょうもない演奏をくり返しCD再発売している昨今,なぜ,こうした名演奏が復活しないのか?
近代哲学の父と呼ばれているデカルトの思想の概要と価値について分かりやすく説明してくれている入門書です。
著者は、デカルトを「自ら創設した哲学を基礎にして諸科学を新たに構築した史上他には存在しない人物」であるだけではなく、「人間的生の価値を説いた人物」と紹介して、その思想が「科学と人間に関する現代的問題を考察する最良の題材」であると述べています。
本論は、デカルトの認識論と形而上学については『省察』に、自然学と宇宙論については『哲学の原理』に、人間論と道徳論については『情念論』に主に従って解説されていて、それらの思想の概要や価値や課題が大略は把握できます。
デカルトの生きた時代は日本で言えば江戸時代の始めに当たりますが、その当時ここまで「合理的」な思考をすることが出来、さらに「合理的な思考の限界」をも認識することが出来ていたというデカルトの精神を垣間見させて頂きました。
心は科学的に説明され得るか、という哲学上の問題を解説した本。まず「科学的に説明する」とはどういうことかをアリストテレスまでさかのぼって議論するというかなり硬派な本でもある。最近の心の哲学の動向までふまえて、かなり本格的な議論が展開される。
著者がデカルト研究者であるためか「デカルトに帰れ」という結論になっているけど、たしかに物的因果と心的因果を峻別したデカルトの思想は、極端な還元主義と神秘主義をともに退ける効能を持っていて、自然科学の立場からは受け入れやすい。(著者の好意的な読みに乗せられている可能性を差し引いても)
ところでこの本の中では触れられていないけど、コンピュータの登場以降、「情報」には物理法則とは独立にそれ自体の法則性があり、しかもそれは科学的に探求可能だとする認識が確立したと思うけど、その情報独自の法則性こそがデカルトの(著者の理解する)心的因果に最も近いものなのではないだろうか。そのあたりの見解を知りたい気がする。
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