部落解放同盟の活動家の多数が、ソビエト派で、都市下層民の労働運動にそって問題を立てていたのに対し、著者を代表とする中国派は、部落の資本家と労働者の統一を基本として、拠点づくり・共同体づくりを志向していました。その思想は、地元である矢田(大阪市東住吉区)のまちづくりの運動として、典型的に結実しているのだろうと思います。著者は現在、大和川流域の自然再生など、大衆の利益を追求する信念は揺るがないまま、新しい時代における運動のあり方を模索し、挑戦し続けておられます。私は、著者に共感して運動を進めてきた方たちの中から、社会起業を実践する人々が多く生まれ、活躍されることを、願っています。 著者が、07年に就任した高知県東洋町の沢山町長に対して、「愛弟子感」として大きな期待を寄せているのがわかります。著者の志しているものが、凝縮されており、とても感動します。 章構成・・・生い立ち/初期の運動体験/矢田教育差別事件/部落解放中国研究会の結成/松本冶一郎から学んだことなど/狭山闘争中央本部事務局長として/荊冠と銀のしずく/闘いの中で出会った人/「西岡・駒井意見書」と今日の不祥事/解放運動再生への提言
知的財産を扱った書籍は多くあれどもタイトルからして難しい。知財戦略、消尽論、自他商品識別機能、立体商標、著作権の保護期間、・・・というテーマが並んでいれば、ちょっと、その本を手に取るのを敬遠してしまうことが多い。この本は、こんな重要だけどとっつきにくいテーマを身近な題材や話題を扱いつつ、一貫してわかりやすい言葉で語りかけてくるため、すっと頭に入ってくる。そして、この本は、どのテーマにおいても単に制度や判例紹介で終わらずに、特許とは何か、いかに知財を活用すべきか、という本質的なところの考察が必ずなされており、どれもしっくりくるのだ。これから知財を取り組もうとしている人は勿論、長く携わってきた人にもおすすめの1冊。
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