何千冊と本を読んできたが、最近は 彼女の幾つかの作品がとても心に沁みる。
地味な装丁。地味な挿絵。そして地味な展開。 ただストーリーを追って読もうとすれば、その中途半端な終わり方に 疑問符がついてしまう作品である。
しかし本書はストーリーやその構成、伏線の整理を主眼に読んではいけない。 私たちが日常の波に溺れて、見落としてしまっている些細な出来事、 そして感情の揺れが、どれだけ私たちの「生」を実は豊かにしてくれているか そんな人間らしい幸せに気づかされる作品なのである。
他愛も無い会話、仕事場に充満する匂い、七輪の網焼き、 なんてことは無い風景が、まるで額縁のように切り取られ、 ぱっとその情景が頭に浮かぶ。その風景に佇むとき、私たちは 喜びとともに揺ぎ無い、眩しい希望を抱く。 限りなくビジュアルな、傑作。
グローフェ『大峡谷』、きっと中学時代に音楽の時間に聴かされることが多い曲だと思います、私もそうでした。(今はどうなんでしょうか?)こんなに良い演奏で聴いたかどうかは分かりません。「山道を行く」が有名ですが、私は、「日没」「豪雨」の辺りが大好きです。色々なテーマは折り重なるようになって、終幕を迎えます。この辺りをオーマンディは雄弁に描いています。トスカニーニ・NBCの演奏と共に、愛聴盤の一つです。ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』も、最初のクラリネットのソロ、トランペットのソロ、どれをとっても、見事としか言えません。こんな名演奏が、この値段って安いと思いませんか?
1920年代から1930年代にかけて、アメリカのニューヨークを中心に活躍した作曲家、ジョージ・ガーシュイン(1898/9/26-1937/7/11)。『ラプソディー・イン・ブルー』や『パリのアメリカ人』をはじめ、当時のニューヨークの摩天楼が生き生きと、鮮やかに立ち上がってくるような彼の作品を、存分に楽しむことができる2枚組CDです。 なかでも、ガーシュインの音楽のリズムと呼吸をうまくキャッチして表現しているなあと感じ入ったのが、アンドレ・プレヴィンのピアノと指揮。DISC1収録の『ピアノ協奏曲 ヘ調』(1984年録音)、DISC2収録の『ソング・ブック』からの5曲(1997年録音)が魅力的でしたね。殊に素晴らしかったのが後者、プレヴィン(ピアノ)とデイヴィッド・フィンク(ベース)の二重奏。これはもう、ジャズですね♪ とびっきり魅惑的な、美しいピアノの音に彩られたジャズ。うわあ、いいなあと、聞き入っちゃいました。 参考までに、ほかの演奏の録音年を記しておきますね。 『ラプソディー・イン・ブルー』バーンスタイン指揮ロサンゼルス・フィル(1982年) 『パリのアメリカ人』小澤征爾指揮サンフランシスコ響(1976年) 『ポーギーとベス 組曲』『キューバ序曲』レヴァイン指揮シカゴ響(1990年) 『変奏曲 アイ・ガット・リズム』『ラプソディ第2番』ウェルナー・ハース(ピアノ)ほか(1970年、1972年) 『3つの前奏曲』ギル・シャハム(ヴァイオリン)、プレヴィン(ピアノ) (1996年)
なかなか生でこの舞台を見る機会はありません。特に日本国内では皆無に等しいでしょう。 仮にあったとしても、日本人キャストでコレを観るなんてお金をドブに捨てるようなもの。 「サマータイム」を含む数々のナンバーが聴ける舞台(オペラというべきかミュージカルというべきか)の映像化。 物語を知った上で聴く「サマータイム」は感動も倍増します。
|