その昔、あすかコミックス他で出版された名作たちが次々と蘇ります! 十年程前に手放してしまったのを後悔していましたので、本当に嬉しい。
●ヤマトタケル(原作:梅原猛)●他者に優しく己に厳しい英雄の、余りに過酷な運命。 (1986-87) 『わたしは最後まで あなたさまにとっては 兄上の粗悪な複製品でしかなかった』 300p超の大作で、山岸作品では珍しい原作付き。原典と読み比べても面白いかも知れません。 兄に父に、妃に部下に、そして敵にも情けを掛け、椿のように散った、強く優しい主人公が痛々しい。
●あやかしの館●耐えぬ物音、人の気配―居候することになった叔母の新居は、何かがおかしい…。 (1981) 『ものすごく恐いとね 逆にハッキリさせずにはいられないものよ』 徐々に怖ろしくなるストーリーと裏腹に、とことんマイペースな主人公の叔母(万年少女)。 モデルは山岸先生ご自身だそうで(笑)。私も「気のせい♪」で済ます方です。実害は無いし。
●幻想曲●妖精たちの悪戯は、人間にとって時に美しく、時に怖ろしく…。 (1977) 『わたくしはあなたにじゅうぶんお礼をしたのに なんてばかなことをするんですか』 ディズニーの「ファンタジア」を思い出す作品で、音楽が欲しくなりました。 ひとつだけ残念なのは、p366で「池」が「海」と誤植されていた所です。でも好きです。
たしか映画実写でヤマトタケルを公開した時にタイアップで 始まったアニメですが、せっかくの全国放送なのに絵柄が ちょっとくせがありすぎてか、アニメ雑誌でも公に特集も されず、知るひとぞ知る・・で終わったのが残念です。 声優においても、元気な男の子を演じて(しかも色気もある) 1,2を争う魅力の亀井芳子さんが主人公のタケルを演じ、 かないみかや緒形恵美や茶風林、森川智之と、芸達者な個性派 ぞろい、話もよくある展開といえば展開ながら、ヒロインが 悪のほうに回ったりと終盤までかなり勢いづくテンションで 少年漫画の王道のような楽しさでした・・・。
手塚治虫先生他、多くの作家によって語られ続けている日本の神話物語です。 少女漫画独特のタッチに、男の私は宝塚歌劇を思い出しました。 導入部分多少読んでいてタルいですが、主人公が熊襲のタケル兄弟を付け狙うあたりから俄然面白くなります。最後まで一気に読んでしまいました。ヤマトタケル、いい奴で男らしくてかっこいいです。父親から疎まれながらも日本中を平定していきます。英雄物語として良く出来ています。 ただ、英雄に引きずりまわされる家来ややられる側からの視点には欠けます。それがあれば、「いい奴」だけではない、光と影のコントラストが効いた深みのある英雄像になったと思います。 ともあれ、歴史好きな方にはお薦めしたい四六版ハードカバーにふさわしい一冊です。
『古事記』や『日本書紀』に出てくるヤマトタケルの物語がファンタジー風に描かれています。タケルはオトタチバナとともに邪神ツクヨミを討つべく、月の神殿へと向かい…。最後のヤマタノオロチとの戦いは迫力があります!
安彦良和先生の東西ヤマト両立論には必ずしも賛成しない私ですが、こういうこともあったかもしれないと思わせる筆力はさすがです。ヤマトタケルの女装の件をこう描くとは!舌を巻きました。
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