世界王者にもなったボクサーの実話を基に映画化。スポーツ映画でもありますが、どちらかというと、兄弟・家族間の愛情や確執を描いた、人間ドラマの側面が強いです。
あまりボクシングの世界には詳しくないので、ミッキー・ウォードとディッキー・ウォード兄弟についての前提知識はない状態で鑑賞。対象的な性格の兄弟をそれぞれの役者が巧く演じていると思いますが、何と言っても、アカデミー賞を受賞したディッキー役のクリスチャン・ベールの演技が見事。薬に溺れる役柄で、やたらとハイな状態から、悲壮感漂う表情まで、本当に素晴らしく演じていると思います。
主人公のミッキーと、ミッキーに頼り切っている(悪く言うと寄生している)家族、特に母親と兄(ディッキー)との距離感が、新しい恋人の登場で変化する展開もリアル。最終的には、家族でチームとなって世界戦に臨んでいくのですが、その過程で、ダメな家族とわかっていながら、なかなか離れられない主人公の葛藤も描かれ、家族のあるべき姿について、少しばかり考えさせられます。
すかっと爽快感のあるサクセスストーリーという感じではありませんが、上述のクリスチャン・ベールの演技など、見応えのある映画です。
現・スーパードラマTVこと旧・スーパーチャンネルで最初から最後までVHSに 録画なんかして観た最高の刑事ドラマです。このドラマ最初の方はハンディカメラ等で 撮影してるので色が薄いのですが、後半のシーズンでは普通にカメラを回して 使ってる様です。このドラマはベイリスに始まりベイリスに終わります。
初期のイントロダクションで、ジャデーロ警部補が 『俺達は派手なアクションドラマなんて信じない』と仰られてますが、 それは後に起こるルーサー・マホーニーとの抗争でドンパチ 激しくやり合っちゃうので…(笑)以後その部分は省かれます。
このドラマは映画版である ホミサイド・ザ・ムービーで完結するのですが、その前にペンブルトンと マイク・ジャデーロのコンビがドラマの中で観たかった。二人が会話するのは 本当に最後だけで、しかもこのドラマを象徴する重要なセリフ(Life On The Streetを 日本語に上手く訳した言葉) も喋ります。たしかマイクはペンブルドンの後任で 来たので仕方ないけど。
未だに自分の中でフランク・ペンブルドン=青山穣さん(現・ネイサン・ペトレリ)です。 それほど彼が声を当てたペンブルドンという刑事は強烈な印象でした。マンチッチは ロウ・アンド・オーダーなどにもゲストで出てるのである意味、ホミサイドのメンバーの 中で一番知られてる顔かも。
アメリカの田舎の閉鎖的で空虚な空気や人間関係をバックグラウンドとして、時系列が前後したり、主人公以外の視点の混入はありますが、基本的に友人を埋葬する旅へと赴く男、ピートの視線を軸として綴り、照準がぶれることはありません。
その一方で、ピートが何故これほど頑なにメルキアデス・エストラーダとの約束を守ろうとしているのか、その信念を貫く理由は一切描かれません。同様に、彼自身の家庭環境についてもほとんど語られない。だが、だからこそ執着的に約束を貫こうとするピートの苛烈さが際立っている。
犯人であるマイクに対しては容赦なしだが、無関係な人々を虐げることは決してしていない。深い孤独を背負い、無防備なようで注意を巡らし、犯罪者ではないのに時として自分が追われる身であることを認めてしまう不思議な度胸がある。まったくハードボイルド小説の主人公のよう。ドラマ性以上にトミー・リー・ジョーンズがカッコイイ!!
主人公以外のキャラクターも魅力的で、一度の過ちによってピートに虐げられる羽目に陥るマイクは、もともと彼は表面的な男であり、よき社会人、よき夫の顔を装いながら万事真面目さに欠く人物として描かれている。妻を気遣っているように見せかけて実際には無関心であり、慣れぬ土地での暮らしに孤独を感じる彼女の訴えにもろくに耳を貸さない。
そういう男だからこそ、かなり凄惨な仕打ちをピートから受けている姿にも悲壮感は乏しく、観客はいっそ爽快感を味わっていられる。だが同時にしばしば強烈な嘆きを見せて観る側を動揺させ、更には次第に人間として成長していくというのがいい。
|