Pleasure to Kill
KREATORの名盤は次作以降とされているが、個人的にはこれが一番のフェイバリット。
全編に渡りメロディやテクはお構いなしにSLAYER顔負けの速さで爆走。あまりの速さにドラムも全然ついていけず、ただただ若さに任せてガンガン爆走している雰囲気が満載。
でもこれがこの頃のKREATORの個性そのもの。まるで斧で敵を容赦なく惨殺してバラバラ死体にするかのような殺傷力には終始圧倒される。ミレのイッちゃった叫びも最高。
やけに粗野でささくれ立っていたジャーマンスラッシュシーンの中でも当時のKREATORは一際クレイジーで、その暴力的なサウンドとミレのド根性の前には、今現在のメタルシーンを代表するバンド達がいくら束になってかかって来ようと敵うわけがない。
CANNIBAL CORPSEらデスメタル勢が「KREATORがいなかったら俺達は存在していなかった」と語るように、このアルバムではデスメタルにも決して劣らないブルータリティがあった。
Terrible Certainty
より整合感を増した3rd。全ての面でレベルアップされており、名盤というのも頷ける。
曲作り/曲構成が格段的に巧みになった。
依然、激しいが前作のような形振り構わず獲物の喉元を噛み千切らんとする獰猛さは影を潜めたが、それに代わり全編に渡って、隙の無い上質なスラッシュ・メタルが炸裂している。
安定性と攻撃性を同じ楽曲内に共存させた奇跡の離れ業を見事、やってのけた。
尚、ギターがウルフ<g>から、イェルク・トリッツェに交代している。
リマスター版は9曲目〜13曲目がボーナスで、EP[OUT OF THE DARK...INTO THE LIGHT]をそのまま収録。
ミックスはご存知、ハリス・ジョンズ。音質もGood!!
Hordes of Chaos
ジャーマンスラッシュメタルのベテラン、クリエイターのアルバム。2009作
前作「Enemy of God」は往年を思わせる勢いと、アップ・トゥ・デイトな構築力が
見事に組み合わさったドラマティック・スラッシュの傑作であったが、
本作はスラシュメタルバンドとしてのさらなる原点回帰を果たした作品となった。
かつての傑作アルバム「Extream Agression」を思わせる生々しいサウンドは
ただ重ければいいという最近のバンドの風潮をあざ笑うかのようで、
その生々しいアナログ的な音作りにには、80年代の香りをぷんぷんと漂わせている。
ミレ・ペトロッツァの情感のこもった歌声に、ときおり聴かせるメロディアスなギターフレーズも
ただ激しいだけのスラッシュバンドとは一線を画すだけのドラマ性を持っている。
前作が気に入っている若いリスナーなどには、やや物足りないかもしれないが、
10曲で38分という潔さも含めて、まさに往年のクリエイターが蘇ったような作品だ。
Live Kreation:Revisioned Glory [DVD] [Import]
ジャーマンスラッシュメタルバンド、クリエイターのライブDVD。2003作
80年代から、SODOM、DESTRUCTIONとともに「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」として
その地位を築いてきた彼らだが、今だに現役として活動を続けているのだから、
その熱意と体力には恐れ入る。このDVDは2002年のツアーを中心に、韓国、ブラジル
そしてヨーロッパ諸国での彼らのステージがたっぷりと堪能出来る。オールドファンからすれば、
「TERRIBLE CERTAINTY」、「EXTREM AGGRESSION」そして「COMA OF SOULS」あたりからの
楽曲はなつかしく、当時そのままの熱さと速さで演奏されるアグレッシブな楽曲には感銘を受ける。
ミレ・ペトロッツァのダミ声の歌い方、低いポジションで前屈した弾き方はかつてと全く変わらない。
熱い演奏。そして熱いファン。ただの直線スラッシュでなく、どこかにヨーロピアンな湿り気を感じるリフ。
メロスピ、メロデス全盛の今に、このようなピュアなスラッシュメタルバンドがまだ生きているというのは
なんとも頼もしいことだ。1982年〜2001年までのビデオクリップも収録され、彼らの活動の歴史が分かる。