栃木リンチ殺人事件―警察はなぜ動かなかったのか
福音書によれば、「偽善者」とは、自分に当てはめようとしない基準を他人に押しつける人とある。
想い起こされるのは、悪党:深山健男(みやま・たけお)元神奈川県警本部長の悪代官ぶりである。
桜田門組とは、威張って貢がせる日本一のヤクザ家業である。
パチンコは賭博、ソープランドは売春・・・現行法では違法とされる行為を行っていることは明らかである。
違法な業態にもかかわらず、許認可権が警察(生活安全課)に存在することが、腐敗の温床を育んでいる。
「天下らせろ!付け届けろ!貢がないと摘発する!!」総会屋と何が違うのか??
日産自動車栃木工場に天下りした元警視の役割とは、不祥事の揉み消しを後輩に働きかけることであった。
スピード違反・酒気帯び等、交通違反の揉み消しなどは、朝飯前・・・今後も果てしなく続くのだろう。
息子の安否を気遣う両親の訴えよりも、付け届け、退職後の雇用が優先されるメカニズムが桜田門組を貫いている。
事件発覚後、日産に訪れた被害者の両親に対し、薄ら笑いで犯意を否定する元警視の項でページを繰る手が止まった・・・
暗殺の森 完全版【ワイド版】 [DVD]
よい映画だった。時間をおいて思い出そうとすると、ちょうど夢を思い出そうとするのに似て、あいまいなのに鮮烈な印象、前後した時間、奇妙なこだわり、おなじ顔のふたりの女、などが現れてくる。イメージに満ちているということだ。主人公の男はあまりいかさないけれども、それがかえって良いのだろう。
おつむの弱そうなジュリアがとても無垢で、彼らのなか唯一「正しい」のだ、ということを思う。暗殺の森は、混迷と錯誤の森だ。
暗殺の森 完全版【字幕版】 [VHS]
G.ドルリューの、映像を超えず、映像に劣らずの寄りそった音楽。主役はJ=L.トランティニアン。絶頂期の作品だ。吹き替えのように聞こえるが、列車内でのラヴ・シーンなどは、トラウマなどの諸々の要素があいまって、かつトランティニアン独特の静かにも激しさを備えたものだ。彼の視線の先に映っているもの。あの知的な目がまたいい。忌まわしい過去に悩まされながらも、暗殺の使命を担って何か新しい世界へたどり着こうとする複雑な役。競演はS.サンドレッリにD.サンダ。このサンダ。撮影当時はまだ10代のはずだが、なんと言う官能美だろうか。あの緑色の瞳。そしてファッションの着こなしの素晴らしさ。
暗い森―神戸連続児童殺傷事件 (朝日文庫)
事件当時、警察官で少年事件を担当していたので、物凄く好奇心が沸きました。
ですが、その頃は当事者の著書しか出版されず、
少年Aの両親の手記である「少年Aこの子を産んで」を読みました。
そして忘れかけていた頃、この本を知り読みました。
内容は分かりやすく事件に至るまでの過程に関して追っていますので、
概要を知りたい方には、とても読みやすく参考になると思います。
更に上記の手記とは違い、事実を基に第三者の目線で書かれていますので
両親が「何故そうなったのか見当も付かない」と言っているものの
少年は幾つものサインを出していた事も分かります。
それだけに残念に思うのです。
「俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた」
これだけ自分の状態を認識していたのですから。
上記の手記と併せて読んでみると子供がいる方はもちろん、
人と接する仕事をしている人に示唆するところ大だと思います。
黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)
何度も繰り返し読んだ。「消された一家」の松永と、この吉田純子はよく似ている。人の心を掌握し、奴隷にし、手を汚さずに殺人を繰り返す。松永が虐待そのものを楽しんでいたサディストだったのに対して、純子はお金のため、必要にせまられて、という違いはあったが。
彼女に騙されて、大金を取られたあげく、殺人犯になってしまった共犯者三人が気の毒でならない。彼女らは特別愚かだったというわけではなく、誰もが彼女らのようになる可能性がある。騙されないだけの知識や能力を身に着けるため、こういう本を読む必要がある。
それにしても、純子の母親の図々しさ、純子の夫のお人好しには唖然とした。彼らに責任がないとはいえない。