レインマン (アルティメット・エディション) [DVD]
自由奔放な青年が重度の自閉症の兄と出会って心を開き、忘れていた愛情を取り戻して行く過程を描いた心暖まる感動のロード・ムービー。高級外車のディーラーをしているチャーリー(クルーズ)の元に、自分を勘当した父の訃報が届く。遺産目当てに故郷に戻った彼だったが遺産の300万ドルは見た事もない自閉症の兄、レイモンド(ホフマン)の手に渡る事を聞かされる。なんとか金を物にしようとチャーリーは施設にいるレイモンドを誘拐まがいに連れ出し、ロスに戻ろうとするのだったが……。
レインマン [DVD]
自分の会社が借金漬けできゅうきゅうな生活をしていた主人公・チャーリー(トム・クルーズ)。縁遠かった父が死に、その遺産300万ドル以上が見知らぬ人間にわたると聞き、本人に会いに行く。
自閉症の謎こころの謎―認知心理学からみたレインマンの世界
私自身、自閉症とは診断されないだろうが、自閉症的傾向を持つ者であると自認する。人から非難されたりすると、それに対して反抗するのではなく、うつむいて口を閉ざしてしまうことがある。なぜ、口を閉ざしてしまうのか?その時、自分の心の奥底で何が起こっているのか?そもそも、自分は、なぜ自閉症的傾向を持つに至ったのか?それは、家庭環境に問題があったのか?それとも、生まれながらに持っている気質に関係するのか?また、自閉症とは、ある個人が持つ病的傾向をあらわすだけではなく、広く今の時代を「自閉」的な時代と位置付けていくことはできないだろうか?このような疑問のひとつにでも、何らかの解答を与えてくれるのではないかと期待し、本書をひも解いた。しかし、残念ながら、本書は、そのような問いに解答を与えるような書ではなかったようだ。
映画「レインマン」にあらわれる場面を、著者が良く知る自閉症者と照らし 合わせて解説していく、いわば、”学術的”な映画解説といえるかもしれない。また、映画「レインマン」は、広く、自閉症者の存在を世に知らしめた功績があるが、本書では、それを映画だけでは終わらさせず、さらにもう一歩突っ込んだところに連れて行ってくれる。
しかし、どうしても、浅はかな印象だけは拭えない。自閉症者の表面をなぞっているだけで、「こころの謎」のその複雑さには、その入り口にも到達していないように思えた。これは、おそらく本書が悪いのではなく、「認知心理学」が持っている限界なのではないか?「こころ」に関しては、やはり、仏教に一日の長があると思われる。本書の著者には、ダライ・ラマと科学者の対話集である「心と生命」を一読することを薦める。
本書は、以下の方々に一読することを薦める。 - 映画「レインマン」を観た方(映画館では気づかなかった新たな発見が必ずあります) - 周りに自閉症者がいる方(彼らの世界に一歩でも近づくため)

