Lispの最大にして唯一?の共通規格であるCommonLisp(CLOSを含む)の仕様を逐一規定している仕様書兼マニュアルです.いわゆる入門書や解説書ではありませんのでご注意.CommonLispの一定以上のユーザーなら横に置いておいても損はありません.これ大幅に増強されたCommonLisp第2版の仕様なので,第1版から変更した部分はコメントの引用みたいに派生する形で書かれており,いわれや変遷は理解できるものの若干うっとおしい.その上,英語版はインターネットで公開されてたりもするので,ちょっと高いような気はするかも.いずれにせよ,CommonLispの500近い関数の仕様を日本語で知るにはこの本しかありません.
国際政治事典
帯にはこう書いてあります。「知ることは、越えることにつながります。知ることは、平和への礎です。」これは、猪口邦子氏の言葉である。後半の件は別にして、最初の「知ることは越えること」という言葉には共感せざるを得ない。それを体現した事典なのだから。
これまで、国際政治に関する事典はいくつかあったが、扱う範囲や内容の深さ、特に理論面で不満なものが多かった。しかし、この事典については不満要素はないと言っていい。幅広く、かつ深く、理論もしっかりとカバー。最初目にした時は「買うもんか」とも思ったが、よく読んでみると解説の深さに驚嘆した。「これは買うしかない」と実感した。
国際政治を学ぶ者はもちろんだが、広く国際情勢、地域問題、一国事情に興味のある者にとっても必携の事典になるのは間違いがない。初学者にとっては、幾分難解な説明や調べたい語句が見当たらない、などの問題もあるかもしれないが、学ぶうちにそうした問題も解決するだろう。これは、既存の知識の集約ではなく、ニュースタンダードと言うことができる。故に、困難な中にも使う価値があると言うものだ。
理論研究をしている自分にとっては、ようやく日本の学術レベルもここまできたか、という感じである。繰り返すが、これからの世界を生きる人間にとって、必携の書である。