さらに、同じ葛城でも馬見古墳群を主とした北部=葛下と、南部
の葛上とでは、異なった勢力と見る見方が有力で、複雑な様相を
呈している。
古くは謎の氏族鴨氏をめぐる井上光貞氏の論考や、門脇禎二氏、
黛氏等の葛城氏、蘇我氏論。今では殆ど否定された感もあるが、
欠史八代天皇に関する鳥越憲三郎氏の「葛城王朝論」。
はたまた、役小角…。周縁的で謎の多いテーマを孕んだ地域で
実に興味深い。
この本は鴨都波1号墳、條ウル神古墳といった最近の発掘成果を
巡り、網干善教、河上邦彦、和田あつむ、福永伸哉等、一流の
メンバーが集い筆をふるっている。もともと渡来人に関わる逸話も
史書に登場する地方ではあるが、河内平野の中百舌古墳群や大陸へ
の繋がりさえも議論がおよび実にスリリング。
個人的には橿考研の河上氏の関西テイストのツッコミが好きです。