藩校早春賦 (集英社文庫)
NHKで現在放映されている時代劇「夏雲あがれ」が、思いの外よい出来で、原作を読みたいと探していました。
直接の原作は同名の著作ですが、その前作がこの「藩校早春賦」です。
大きくは話の流れもあって時系列になっていますが、各章それぞれで読み切りとも感じます。
藩校の剣術所教授方を決める御前仕合を描いた「学びて時にこれを習う」をはじめ、続刊の「夏雲あがれ」で触れられるエピソードも多く、先にこちらを一読しておくと、より楽しめます。
主人公・筧新吾の性格そのままに、ストーリーも、さわやかに青春の旅路を駆け抜けていきます。
早春 その他 (文春文庫)
表題作は作者唯一の現代小説である。解説者桶谷秀昭は言う。「現代小説としては凡作」しかし「(時代小説が)生まれる原因を暗示している」ほんとうに凡作だろうか、私は傑作だと思う。妻は早く死別し、本人は窓際族に追いやられ、娘はかってに妻子ある男と恋愛し、相手の離婚を待って結婚しようとしている。仕事に対するむなしさや娘の幸せを思う初老の男の「気持ち」の持って行き場の無さをここまで丁寧に描いている作品が今まであったろうか。「気持ち」の伝わらない悲しみを藤沢周平はまるで新人に返ったように新しい表現で書こうとしている。「二十を過ぎるころから、娘は概ね父親の理解を超えた存在になる。隠しポケットをいっぱい持ち、必要があれば姿を消してしまうマントまで持つ人間に変わってしまう。」時代小説では決して書きえない表現である。但し解説者がいっていた「時代小説が生まれる原因」という指摘は当たっていると思う。特に亡き妻を想う主人公の気持ちはほとんど藤沢自身のそれであろう。「ほっそりしてて埴輪のような眼を持つ民子の顔を、何物にもかえがたい宝石をすくうように両手ではさんだ日のことを岡村は思い出していた。」なくなった「早春の日々」への痛いほどへの想いが伝わってくる。
早春物語 [DVD]
~17歳の原田知世です。もう昔の映画だからこそ、演技やシナリオから離れて、もっと高い視点から見てみると、青春とはこんな感じだなぁ、と納得してしまいます。
初めてのデートも、初めてのキッスも、誰だってこれくらいぎこちないものだったのではないでしょうか?
かっこいい先生にキャアキャア言っている友人たちを尻目に、影のあるおじさんが気にか~~かる自分の中に悪女の芽生えを感じ取り、かと言ってそれをどうしようもなく持て余してしまう自分に、大人になりきれない女を見てしまう・・・そんな女の人生の一コマが描かれています。
Sexしたと得意げな友人に、「私は過去をもつ女になったの」と言う主人公:瞳は、本当の女とは何か、を感じ取れたのです。
心がお子さまのままの女性に、もう一度見ていた~~だきたい作品です。~