エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか
野生の象には墓場がある。というのはよく知られた話である。
本書で、象の死にまつわる二つの話を知った。
動物園で飼われてたあるメスの象は、死期が迫ってきた時、普段はあまり行かない
別の折の片隅にワラを敷き始めた。周辺がワラでいっぱいになった頃、象はそこに身を横たえて死んだ。
その場所はかつて、余り暴れ回るので始末に追えず、射殺せざるを得なかった象を射殺した場所であった。
ある象の群れは、仲間が死ぬと、そのなかまの骨を一匹ずつが受け渡しながら、ぐるぐる回す。
また。ある象の群れは、あたかも、死んだ象を悼むようにそのからだの上に草や、ワラをかけてゆく。
ところでこの本のタイトルは少々ニューエイジ系の香りがして損である。
きちんとした動物行動学の本なのに。
クレージーだよ 奇想天外 [DVD]
遊星アルファから地球上の戦争をなくすために派遣されてきた谷啓が日本有数のコングロマリットに入社して…。入社式、自衛隊、パチンコ、ストリップ、ロックコンサート、乱闘国会、カーチェイス等々、谷啓がからむエピソードがどんどんエスカレーションするドタバタ喜劇。
本作はクレージーシリーズで唯一、谷啓が主演した映画で、最初から最後まで、地球人の慣習にとまどう宇宙人らしくトボケタ表情のままで、核開発計画を阻止するという反戦テーマにそったお手柄まで立ててしまう。また、藤田まこと・内田裕也等、豪華共演陣も最高におかしい。ミステイク・セブン(谷啓)とゼロ八(藤田まこと)の共演シーンの楽しいこと。また個人的に、谷啓が住む「日之出荘」の雰囲気が、東京で私がいた古アパートと似ていて懐かしかった。
資生堂のCM vol.1 1961-1979 [DVD]
白黒画面でピンクピンクと連呼する昭和30年代のCMもなかなか風情があるが、
長尺のCMでの表現に対しては、新鮮さ以上にもどかしさも感じてしまう。
しかし、このDVD、ほんと中盤以降は草刈正雄の独壇場。
とにかく爽やか、とにかく楽しい。
こういう楽しさってのは、今はないなあ。
笑えっていうんじゃなくて、でも笑えちゃうってのは。
舞台「ファッショナブル」DVD
実際に大阪に観に行った者として,
注目点を書かせてもらうと,
この物語は,
『トレゾア』という,小さなアパレルショップ(洋服店)が舞台で,
そこで,道重さゆみ以外のモーニング娘。のメンバー7人が働いてるわけです。
ちなみに,
道重さゆみは,テレビで活躍する一流アイドルという設定で,トレゾアの従業員からははずされてます。
そのトレゾアは,近くに大型ショッピングビルが出来たことで客が奪われて,経営が危機的な状況にある,
という設定なんですね。
そこに,辰巳琢郎さん演じる世界的なファッションプロデューサーが,
トレゾアを立て直すためにやって来る。
が,実は,その正体は・・・・
ストーリーの前半は,こういう感じなんですけど。
この設定を見て,『おや?』って思いません?。
アパレルショップ『トレゾア』には,モーニング娘。のメンバー7人が働いている。
道重さゆみは,テレビで活躍する一流アイドルという設定で,トレゾアの従業員ではない,という設定。
この設定っていうのは,
そのまま今のモーニング娘。に重なると思いません?。
そして,そのトレゾアは,現在,
近くに大型ショッピングビルが出来て,客が奪われている・・・・
この『大型ショッピングビル』というのは,
おそらく『AKB48』のことではないですか?。
つまり,この『ファッショナブル』という舞台は,
現在の芸能界,アイドル業界におけるモーニング娘。の今を,そのまま重ねる形でストーリーが進んでいくんですね。
その経営危機の状態にあるトレゾアを立て直すために現れた辰巳琢郎さんは,
トレゾアの従業員に対して,
『君たちは上から目線じゃないのか』
『自分たちの趣味に合わない客なら,来なくていい。そう思っていないか?』
『流行の服を着ているだけの従業員ならば,マネキンのほうがマシだ』
リーダーの高橋愛に対しては,
『君は,一従業員のときはのびのびやれていたのに,
リーダーになった途端に持ち味を出せなくなっている』
『君は本当に従業員たちと真剣にぶつかっているのか?』
など,記憶にあるだけでも,これだけの厳しい言葉を,メンバーたちにぶつけて,トレゾアに変革を要求すわけです。
『君たちは変わらなければならない』と。
もちろん,トレゾアのメンバーたちは反発します。
『あなたに何がわかるんだ』
『自分たち,には自分たちのやり方がある』
『自分たちのやり方で,経営を建て直してみせる』
そうやって,
辰巳琢郎さんとメンバーで衝突してしまうんですね。
ただ,ストーリーの中盤で,
とある出来事があって,
そこに道重さゆみも絡んで来るわけですけど,
その出来事によって,
トレゾアのメンバーは,自分たちの傲慢さ,未熟さに気づく。
そして,その出来事を,どう解決していくか,
どう乗り越えていくのか・・・
そこが,実に見事なんですね。
そして,そのあとに,ストーリーの後半部分に突入していくわけですけど。
確かに,後半部分も感動的なストーリーなわけです。
まさに父と娘の感動物語なんですけど。
でも,私としては,その前半部分のストーリーのほうが,はるかに印象に残っていて。
むしろ,本当は,そっちのほうが舞台としてはメインだったんじゃないのか?,と思うくらい。
つまり,
現在のモーニング娘。は,
AKB48という大型ショッピングビルの存在によって,客を奪われている状態にある。
だから,そこからトレゾア(モーニング娘。)を立ち直らせるためには,
自分たちは変わらなければならない。
AKB48という大型ショッピングビルが存在することを前提に,
これからモーニング娘。は頑張っていく!。
私は舞台を見て,そうメンバーが,ファンに語りかけているような気がしたんですね。
そうファンに宣言するための舞台だったんじゃないか,と。
だから,私は,そこに感動して。
そういう意味で,モーニング娘。ファンには,ぜひ見てほしいストーリーなんですね。
とは言っても,この舞台以降,
本当にモーニング娘。が,ハロー!プロジェクトが変わったか,と言われれば,かなり疑問ではあるんですけど。
特に,モーニング娘。のプロデューサーは,この舞台を観に行ったんでしょうか?。
安倍なつみさんの舞台は見に行って感想書いたりしてましたが。
ファッショナブルに関しての感想っていうのは,読んだ記憶がない。
もしかしたら,あったかもしれないが。
現在のモーニング娘。,ハロプロは,
本当にメンバーの血の滲むような努力によって支えられてると思いますよ。ファンとして。
夏のハロー!プロジェクトコンサート。
内容が毎回違う,なんというコンサートに対応出来たのは,
まさにメンバーの努力によって,でしょ。
『やれ』と言う方は簡単だけど。
プロデューサーは,この舞台を見て,どう思うのかな?。
気になるのはそこですよね。
アパレルショップ『トレゾア』は,
外部から来たファッションプロデューサーによって変革を求められてるわけですからね。
高橋悠治の肖像
エイベックスからでた新譜「高橋悠治の肖像」(AVCL−25452〜3)を聴いた。
2枚組、計10曲収録されたCDで1964年から2007年までの間に作曲された曲が並ぶ。
☆ジョン・ダウランド帰る(1974)を聴く。 朗読:波多野睦美 ギター:笹久保伸
ダウランドの書簡とリュート歌曲のパロディで構成されている。伴奏のギターがボトルネック奏法を聴かせる。電子楽器を使わなくても変調できるとでもいわんばかりに。
☆はじまりのことば オルフェウス教の(1989)を聴く。 朗読:波多野 オルガン:保田紀子
ゲーテ晩年の短詩の朗読につづくオルガン曲。これは明らかにメシアンのパロディ。しかし、なかなかに美しい曲。高橋悠治の作品の中で最もエロティックな曲?
☆おやすみなさい(2005)を聴く。 歌:波多野睦美 ピアノ:高橋悠治
深夜放送終了前に読まれた石垣りんの詩。高橋と長年協働した三弦奏者高田和子のために書かれた最後の作品。詩がすばらしい。いい曲だ。
☆さまよう風の痛み(1981) ピアノ:高橋悠治
韓国の詩人・高銀の「臨終」につけた歌曲のフレーズを再構成したもの。3分31秒の曲だが、美しい曲。ジョン・ケージの美しい作品と見紛うばかり。
このCDは2009年7月18日に水戸藝術館コンサートホールのライブ。ひさしぶりに高橋悠治の曲を聴くことができて嬉しかった。孤絶の人。彼の孤独な戦いは続く。